2009年01月24日《第55回名曲コンサートに寄せて》
ニューイヤーコンサートといえば、やはりウィンナーワルツです。ワルツを日本では円舞曲といいますが、独語のワルツ(Waltz)の原意は、回転する(sich waltzen)という意味です。それまでのメヌエットやポルカなどの踊りに比べて、男女が抱き合ってくるくる回って踊るこのワルツは、19世紀のウィーンで大ブレークしました。そして、その主役がシュトラウス一家、中でもヨハン・シュトラウス2世(1825-1899)はワルツ王と称されました。ちなみにウィンナーワルツが世界に広まるきっかけとなったのは、フランス革命後のヨーロッパの領土分割を目的とした、1814年のウィーン会議でした。ウィーン会議は、「会議は踊る、されど進まず」といわれますが、これは、毎夜社交場では会議に出席する各国の代表団がワルツを踊り楽しんでいるが、肝心の会議の方は、各国の利害が交錯して進まず、ウィーン議定書の締結まで9ヶ月もかかったことを巧く表しているのです。
ワルツは3拍子ですが、抱き合った2人がくるっと回り易くするためにリズムが微妙に変化します。そのリズムの綾(あや)が、なかなかどうして私たちには難しいのです。文字で表現してみると…「ズン・チャ・チャ」が一般的な3拍子だとすると、ワルツは「ズチャー・チャ」という感じです。そして演奏する立場からすると、楽譜は「ズン・チャ・チャ」なのに「ズチャー・チャ」と演奏するところがプロの技の見せ所です。音楽を習った人ならば誰でも経験することですが、はじめは先生から「リズムを正確に…」と言われます。ところがワルツは、楽譜通りに演奏してはいけないのです。ウィーンの音楽大学には世界中から音楽学生が集い、このウィンナーワルツのリズムの秘密を探るべく分析します。でも、ウィーン子は一言「習うより、慣れろ。演奏する時は、軽くワインを一杯飲んでから…」
さて、今日のコンサートの後半は、珠玉の名曲が並びます。「天国と地獄」の元々のタイトルが「地獄のオルフェウス」であったり、「カヴァレリア・ルスティカーナ」は「田舎の騎士道」という、少々冴えない意味であったり、はたまた「ツィゴイネルワイゼン」が、実は放送禁止用語の「ジプシー風」だということを知らなくとも、それぞれの音楽に秘められた力は、これまでも、そしてこれからも私たちを幸せにしてくれるに違いありません。
大阪シンフォニカー交響楽団ITプランナー 佐々木 修