日本のプロ楽団中、最も若い音楽監督・曽我大介の存在感を問うシリーズの始まり。新設のいずみホール定期演奏会は「古典派の現在(いま)」と題して、ハイドン最後期の交響曲第93番から104番、ロンドン時代のいわゆるザロモン・セット12曲を軸に組み立てる。古楽演奏の追随ではない、我らがオーケストラのサウンドを構築するに、テキストと向かい合って一から、という。
後発の若いオーケストラと一味同心での取り組み、曽我の心ばえ、そのすがすがしさに惹かれる。一方で、これはもう実験というほど、賭けの一面もある。アンサンブルの足元を固めるは普遍の原理ながら、今風の好みに距離を置いたプログラムに、どう聴衆の共感を呼び込むか成否をかけた取り組みとなる。
しかし、これは杞憂にすぎないことで終わるだろう。組み合わせるにモーツァルトの協奏曲など、ソロに迎える世界の名手、楽団首席の起用など布石怠りなく、加えていずみホールの空間が味方もしよう。このシリーズに年々加えられてゆくシンフォニカーの力量と魅力、音楽好きが気づかぬはずはない。清新な風が吹いてこよう。
ハイドンによって一つの頂を築いた古典派の音楽資産は、長らく演奏のフロントでないがしろ、とはいわないまでも、いまの聴衆に届くこと間遠であった。演奏の側にも、声高なオーセンティックの流れの中で敬して遠ざけられていたと言えなくはない。曽我は、なにより心に響くサウンドを回復したい一念と語る。
いまこの地にオーケストラ四つ。求心力の核にあった朝比奈隆を失って、いずこも先行き不安を抱きながらも演奏の営為に倦むことのない日々。演奏の場を増やし、個性際立つ楽団カラーの構築に汗を流す。
大阪シンフォニカー交響楽団にとって、後発、若さという他に比しての弱みは、逆に力ともなることを証さなければならない。事実、この楽団の若い力は即応する行動で目を見張る。「名曲コンサート」は年5回、同一プロの昼夜2回公演でフェスティバルホールを満たし、5年目に入った。
ザ・シンフォニーホールの「定期演奏会」は数えて80回に。春にはNHK大阪ホールでの特別演奏会にも着手、これは合唱団の第1同定期ともなった。それに加えての「いずみホール定期演奏会」だ。それらすべてに“新世代の熱い音”を冠している。
新シリーズ「古典派の現在」には、音楽監督のオーケストラ設計がかかっている。曽我大介はいま、夢の一歩を踏み出そうとしている。