■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調『皇帝』Op.73
Ludwig van Beethoven: Piano Concerto No.5 "Emperor"
初演:1811年11月28日、ライプツィヒのゲバントハウス。
演奏時間:20',8',10'(38')
楽器編成:2Fl,2Ob,2Cl,2Fg,2Hr,2Tp,Tim,Str
ベートーヴェン(1770-1827)はいうまでもなくドイツ・オーストリア系のクラシック音楽を代表する作曲家ですが、まずピアニストとして有名になりました。32曲あるピアノ・ソナタもシンガー・ソングライターのように自作自演で、ピアニストが作曲もするというのが時代の姿勢でした。5曲のピアノ協奏曲も第4番までは自分でピアノを弾いて初演しています。しかし第3番を作曲中に聴覚障害を自覚して、ハイリゲンシュタットの遺書(1802)を書き、自分の人生と芸術の将来に新しい決意を持って創作活動は頂点を極めますが、オーケストラとの協奏は無理になります。第5番は1809年の作曲ですが、ナポレオン軍のウィーン進駐など、戦争の影響で初演は遅れて、1811年11月28日、ライプツィヒのパウリーネ教会オルガン奏者だったヨハン・フリードリッヒ・シュナイダーのソロによってゲヴァントハウスで行われました。弟子のチェルニーのソロが翌年2月15日に延びたのは、マスターするのに時間がかかったからだと思われます。以後ベートーヴェンの生きている間に再演された記録はありません。「皇帝」という標題は作曲者が付けたものではありませんが、豪華で壮大な曲想をうまく捉えたエピセットで、「皇帝」をいちばん弾きたかったのは英雄好みのベートーヴェンその人だったでしょう。第1楽章が長く、第2楽章と第3楽章は続けて演奏されるので実質的には2部構成ですが、日本人の序破急の感覚にも通じます。
第1楽章(アレグロ)は変ホ長調(4/4拍子)の協奏曲ふうソナタ形式で、オーケストラの力強い和音に続くピアノ・ソロで始まります。第1主題はヴァイオリンのフォルテの壮大なメロディーで、第2主題は対照的にピアニッシモのスタッカートです。明るい調性と威風堂々としたマーチのリズムが荘重感を強めています。
第2楽章(アダージョ・ウン・ポーコ・モッソ)はロ長調(4/4拍子)で、弱音器を付けたヴァイオリンのメロディーを即興的・幻想的に変奏していく緩徐楽章です。最後は消え入るようなムードの中でピアノが次の主題を暗示してそのまま終楽章に続きます。
第3楽章(ロンド アレグロ)は変ホ長調(6/8拍子)で、ピアノの主題がフォルティシモで全体像を現します。対照的に軽やかなピアノの副主題にも回音やトリルの修飾が印象的で、きらびやかなロンドの舞台になります。(無断転載を禁ずる)(C)音楽評論家 鴫原 眞一

PC-index
Mobile-HOME