■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 op.58
Ludwig van Beethoven: Concerto for Piano and Orchestra,No.4 in G major,Op.58
初演:1808年12月22日。アン・デア・ウィーン劇場。作曲者自身の独奏。
演奏時間:19',5',10'(34')
楽器編成:1Fl,2Ob,2Cl,2Fg,2Hr,2Tp,Tim,Str
耳の病気で音楽家人生の転換点を認識した1802年の『ハイリゲンシュタットの遺書』以後、ピアニストとして帝都ヴィーンでの名声を固めていたベートーヴェンには、作曲家としての仕事が重要となった。ナポレオン戦争の帝都政情不安とは無縁に、創作力が大爆発する傑作の森の季節である。1806年暮れにはヴァイオリン協奏曲が初演される。耳から消えゆく音を愛おしむような、この作曲家には珍しい弦楽器の音色美に徹した傑作だ。翌年3月、ロプコヴィッツ侯爵邸を舞台にした2日連続の予約演奏会では、ヴァイオリン作品と平行して作曲したト長調のピアノ協奏曲が初演された。作曲者自身がピアニストとして披露した最後の協奏曲である。ヴァイオリン協奏曲同様、耳に響く音の大地にしっかり足をつけ音色美を求め得た最後のピアノ曲かもしれない。極めて優雅で響きの美しいこの音楽、今や日本を代表するベートーヴェン弾きになりつつある本日の仲道郁代のピアニズムにも最適だろう。 第1楽章アレグロ・モデラート。管弦楽の主題提示に先立ち、即興的な展開を先取りするように、ピアノが「運命」モットーを穏和にしたような第1主題素材を爪弾く。技巧的には極めて難曲だが、そう感じさせぬ繊細さを「演奏中の打鍵は見事に静寂で、気品に溢れ、美しく、常に平然としたものだった」と弟子チェルニーは語っている。第2楽章アンダンテ・コン・モート、ホ短調。弦楽器と独奏のみで、弦をピアノが優しく説得する対話劇を眺めるよう。音色に細かく配慮し、当時のフォルテピアノでのみ可能なハンマーが打つ弦を1本にする効果まで用いている。前楽章からフェルマータで繋がる第3楽章ヴィヴァーチェ、トランペットとティンパニーが活躍する軍隊行進曲風のロンド主題と、典雅なピアノが導く副主題が錯綜する。
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