■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
ベルリオーズ:幻想交響曲
Berlioz: Symphonie fantastique,Op.14a
演奏時間:13',6',15',5',10',(49')
楽器編成:2Fl(Pic),2Fl(EH),2Cl(Es-Cl),4Fg,4Hr,2Tp,2Cornetto,3Tb,2Tub,2Tim,2perc(BD,Cym,sus Cym,SD,2 low Bells,4Hp(2 Real Parts),Str
ベルリオーズ(1803-1869)の「幻想交響曲 作品14a」は、音楽史上エポック・メーキングといえる作品である。交響曲に自伝的な要素を導入したのは、ベルリオーズが最初と考えられ、固定楽想を標題音楽的に用いたのも、これが最初といってよい。管弦楽法も基本的には2管編成だが、きわめて多彩であり、変則的な手法が随所に駆使されている。
ベルリオーズはパリ音楽院で学び、大きな特典をもったローマ大賞に挑戦した。しかし1827年に2年連続して落選、失意の日々を過ごしていたが、その頃シェイクスピア劇の大女優ハリエット・スミスソンに恋した。むろん彼女が相手にするはずもなく、その片思いが昂じて「幻想交響曲」を書かせることになった。作曲は1830年の2月から4月の間といわれる。
ところが、その初演の準備中、ついに待望のローマ大賞を受賞し、特典のローマ留学を前にした1830年12月5日、「幻想交響曲」の初演がアブネック指揮で行われた。演奏は大成功で、第4楽章がアンコールされた。しかしベルリオーズはローマからの帰国後、この曲を改訂している。
「幻想交響曲」は、《ある芸術家の生活とエピソード》という副題が付けられている。その冒頭には“病的な感受性と非常な想像力をもった若い音楽家が、失恋して服毒自殺を図る。しかし薬の分量が足りなかったので死ぬことができず、奇怪な一連の夢を見る。そのなかで恋する女性はひとつの旋律(固定楽想)として描かれている”と記されている。
第1楽章 夢と情熱 ラルゴーアレグロ・アジタート・エ・アパショナート・アッサイ ハ短調 4/4拍子ーハ長調 2/2拍子
序奏の付いたソナタ形式。若い音楽家は恋人に出会う前に経験した感情を回想する。それから恋の炎が燃え、狂乱と苦しみが続く。
第2楽章 舞踏会 ヴァルス、アレグロ・ノン・トロッポ イ長調 3/8拍子
ワルツ。騒がしく華麗な祭りの舞踏会。彼は再び恋人の姿を見かける。
第3楽章 野の風景 アダージョ ヘ長調 6/8拍子
ある夏の夕方。彼は田舎で2人の羊飼いが笛を吹き、呼びかわしているのをきく。その自然の情景の物音は、彼の心を平静にさせる。かすかな希望も湧き上がってくる。しかしふたたび恋人の面影が心に浮かび、暗い予感と不安がしのび寄ってくる。日暮れ。はるかな雷鳴。孤独、静寂。
第4楽章 断頭台への行進 アレグレット・ノン・トロッポ ト短調 2/2拍子
若い音楽家は夢のなかで恋人を殺す。彼は死刑を宣告され、断頭台に向かってひかれていく。行進は陰気な調子から狂おしく高まり、重苦しい足並みがつづく。それは最高潮に達するが、最後に恋人の姿が一瞬浮かび上がり、ギロチンの一撃で断ち切られる。
第5楽章 ワルプルギスの夜の夢 ラルゲット 4/4拍子ーアレグロ 6/8拍子ーアレグロ・アッサイ 2/2拍子ーアレグロ 6/8拍子ー「怒りの日」ー「怒りの日」と「魔女のロンド」の合体
芸術家は魔女の祝宴に加わっている。妖怪、魔法使い、亡霊が彼の埋葬をするために集まる。この世のものと思われぬ物音、うめき声、哄笑などの応答がきこえる。彼が殺した恋人もかつての高貴な姿でなく、グロテスクな感じで登場する。彼女を迎える叫び声。弔鐘が鳴り響くと聖歌「怒りの日(ディエス・イレ)」のバーレスクがはじまる。つづいて「魔女のロンド」に移るが、それが「怒りの日」と合体して、ついにクライマックスに達する。
この楽章では無気味な効果を出すため、弦のコル・レーニョが用いられている。(以上の表示と拍子はベーレンライターの新全集版による)。
(c)小石忠男