■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
Charles Camille Saint-Saens:Symphony no.3 in c "Organ"
初演:1886年5月19日ロンドン、フィルハーモニック協会、作曲者自身の指揮
演奏時間:11',10',7',8',(36')
楽器編成:3Fl(Pic),2Ob,1EH,2Cl,B-Cl,2Fg,K-Fg,4Hr,3Tp,3Tb,Tub,Tim,2 perc(Cym,Trgl,BD),Org,Pf-4hds,Str
フランスの作曲家カミュ・サン=サーンス(1835〜1921)は、自身の作曲活動のみならず、フランスの作曲家を奨励し、作品を演奏するために国民音楽協会を設立、ドビュッシー、ラヴェル、フォーレ、フランクなど多くの作曲家の作品を紹介し続けた功績は真に大きい。また広いジャンルに亘って多くの作品を残したことでも知られ、交響曲についても5曲を作曲したが、作品番号を持たない2曲は今日では残念ながら不明である。 この「第3番」は1886年ロンドンのフィルハーモニック協会の委嘱で作曲された。循環形式による主題、それを緊密化するための2楽章構成、オルガンやピアノを楽器編成に取り入れるなど甚だ斬新な試みに溢れている。作曲者自身オルガンの名手でもあり、古典的な形式を踏襲しながらも新しい手法が見事な音楽的感興を生み出したといえるだろう。友人であるリストに献呈された。
第1楽章 4楽章構成の交響曲であれば、第1、第2楽章の性格を有している。まず8分の6拍子アダージョの緩やかな序奏から開始され、アレグロ・モデラートの主部はソナタ形式と言える。第1主題は幾つかのモティーフが大きな循環主題を構成するもので、第2主題も同様に呈示される。ポコ・アダージョの第2部は三部形式で、もの哀しい表情のオルガンによって導入される。
第2楽章 通常第3楽章に置かれるスケルツォ的な性格を持つ前半はハ短調、8分の6拍子のアレグロ・モデラートと、ハ長調8分の6拍子のプレストから構成されている。著しく情熱的な部分で、金管とピアノの効果的な使用法も目を引くが、後半はオルガンの和音強奏後ハ長調に転じてフーガやファンファーレが登場、そして壮大なフィナーレへと結実する。全曲は独特のポリフォニックな語法やコラール風など多彩な変化や力感に富み、なお有機的な統一感に支配されている。
(無断転載を禁ずる)(c)真嶋雄大 (音楽評論家)
《動物の謝肉祭》の御陰で、皮肉で小粋な小品の名人と思われがちなサン=サーンス(1835-1921)だが、フランス音楽に真の古典性を確立すべく努力した国民主義作曲家なのである。晩年は長生きし過ぎた天才の悲哀を味わうものの、ロマン派時代に対応した、知性に振れたフランス音楽趣味の代表だ。
亡くなる直前のリストに捧げた1886年の第3交響曲は、豪奢な大盤振る舞いの音楽。オルガンと大管弦楽が渡り合う殆ど史上唯一の交響曲で、盛んに演奏される豪奢な傑作であることに異論はないのだが、見かけの分かり易さの一方、不可思議な点も多々ある。実質的な古典派4楽章をなぜ2楽章にする必要があったのか、なぜこんな大規模に楽器を導入したか、オルガンやピアノのバランスをどう処理するつもりか…でも、第2楽章第2部で壮大なハ長調の和音が鳴った途端、そんな疑問が全部吹き飛ぶのだから、全てを知り抜いた策士の老獪な荒技に脱帽である。
第1楽章第1部、短いアダージョ序奏の後、アレグロ・モデラートの主部、一種のソナタ形式楽章。弦が出す循環主題の焦燥感に、伸びやかな管の呟きが対比される。第1ヴァイオリンが変ニ長調で優雅な第2主題を歌い出しても、第2ヴァイオリンとヴィオラが細かく刻む16分音符が耳を離れない。
フェルマータの付いた全休符の後、変ニ長調のポコアダージョ第2部で、オルガンがピアニッシモで登場。讃美歌伴奏のように厚い和音を響かせる。第1と第2ヴァイオリンが導く弦4部の16分音符による掛け合いも、静けさの中に展開される。コントラバスのピチカートがハ短調主題を回想。
第2楽章は、3部形式が崩れたスケルツォと、壮大なフィナーレの合体。再び16分音符が支配するアレグロ・モデラートでは、プレストのトリオではピアノが駆け抜け、トライアングル、シンバルも鳴り響く。やがて忙しないピアノを背景に金管群のファンファーレが立ち上がり、推移部へ。
マエストーソの第2部。待ちに待った真打ちオルガンが、壮大にハ長調和音を鳴らす。4手ピアノが32分音符を振り撒く前で、ハ長調に変容した循環主題を、フォルテッシモのオルガンと弦楽器が高らかに奏でる。フガートでアレグロに入ると、オーボエが歌う副主題や、天使の合奏のようなトロンボーン合奏まで登場し、クライマックスへ。
(無断転載を禁ずる)(C)渡辺 和 音楽ジャーナリスト