■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
ベルク:ヴァイオリン協奏曲
Alban Berg: Concerto for Violin and Orchestra
初演:1936年4月19日
演奏時間:9',13',(22')
楽器編成:2Fl(2Pic),2Ob(EH),3Cl,B-Cl,A-Sax,2Fg,K-Fg,4Hr,2Tp,2Tb,Tub,Tim,2perc(BD,Cym,sus-Cym,SD,Trgl,TT,Gong),Hp,Str

シェーンベルクやウェーベルンとともに新ウィーン楽派を形成したアルバン・ベルク(1885〜1935)の最後の作品であり、1935年2月、アメリカのヴァイオリン奏者、ルイス・クラスナーから作曲を依頼された。当時、ベルクはオペラ《ルル》に取り組んでいた最中であったが、4月にマノンという名の19歳の少女が亡くなり、激しい衝撃を覚えたことからにわかに作曲が開始された。マノンは、以前にマーラーの妻であったアルマと、後の夫で建築家のヴァルター・グロピウスとの娘で、ベルクも妻ヘレーネも彼女を特別に可愛がっていたのである。ベルクはこの曲を8月の前半まで4ヶ月をかけて書き上げ、「ひとりの天使の思い出に」捧げたが、彼自身も、完成からわずか4ヶ月後の12月24日、悪性の腫瘍がもとで50年の生涯を閉じた。初演は翌1936年4月19日、バルセロナ国際現代音楽祭において、クラスナーのヴァイオリンと、ヘルマン・シェルヒェンの指揮によって行われた。
この曲は2つの楽章からなり、それぞれが2つの部分で出来ている。
第1楽章 前半はアンダンテで、4分の4拍子の導入の後に2拍子になる。12音音列を素材としているが、ト−変ロ−ニ−嬰ヘ−イ−ハ−ホ−嬰ト−ロ−嬰ハ−嬰ニ−嬰ホという構成音(第15小節目に、この形で独奏パートに現れる)が示すように、三和音を内在しており、調性的な音楽のなごりを感じさせる。また下線を施した5度音程の積み重ねが、冒頭から繰り返し現れてくる。後半のアレグレットは8分の6拍子、やがて8分の3拍子になり、舞曲風に高潮してゆく。
第2楽章 カデンツァのような動きに始まり、前半はアレグロで狂詩曲のように激しい曲想が展開される。後半はアダージョ、4拍子となって、バッハのカンタータ第60番《おお永遠、そは雷(いかずち)のことば》の終曲コラールの旋律(元来、ルドルフ・アーレが1662年に作曲したもの)が変ロ、ハ、ニ、ホ…と現れてくる。バッハのもとの歌詞は「もう十分です。主よ、もし御心にかなうのでしたら、私を解き放ってください…」という意味で、この旋律はマノンやベルク自身の死を暗示しているとも理解できよう。曲の終わりはドミソにラが加わった響きとなって、浄化された気分のうちに結びとなる。
(無断転載を禁ずる) (C)根岸 一美(大阪大学教授・音楽学)

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