■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調op.26
Max Bruch: Concerto for Violin no.1 in g-moll op.26
初演:1866年4月24日コブレンツ、作曲者自身の指揮
演奏時間:9',8',7',(24')
楽器編成:2Fl,2Ob,2Cl,2Fg,4Hr,2Tp,Tim,Str

ヴァイオリンとオーケストラのための<スコットランド幻想曲>やチェロとオーケストラのための<コル・ニドライ>とともに、ブルッフの代表傑作として知られるこの<ヴァイオリン協奏曲第1番>は、メンデルスゾーン以後のヴァイオリン協奏曲の中でもっとも演奏回数の多い一曲となっている。ブルッフはドイツでもっとも高い評価を集めるオラトリオ作曲家として活躍し、その作品は生前盛んに演奏されていたが、1935年から45年までのナチス時代に、ユダヤ教信者と見なされた彼の作品はすべて上演禁止とされたため、戦後60年を経た今も、わずかに上記の3作品が知られるにとどまっている。
 しかし、この作品の全曲に横溢するドイツ・ロマン派協奏曲ならではの豊かな旋律美と情熱的な音楽の魅力は、ブルッフの非凡な才能を余すところなく伝えている。1866年、ブルッフ28歳の時に作曲されたこの作品、初演の評判は芳しいものではなかったが、その2年後にヨーゼフ・ヨアヒムによって再演された時は大成功を収めたという。ヨアヒムは、13歳の時にベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の復活演奏を行ったほか、ブラームスのヴァイオリン協奏曲の初演者としても知られる。ブルッフはブラームスと同世代で作風にも共通点があるが、ブルッフのほうが楽想にロマンティックな甘さがあり、それが人気の理由ともなっている。曲は自由な3楽章構成。
第1楽章「前奏曲」アレグロ・モデラートは、自由なソナタ形式。力強い第1主題と優美な第2主題がヴァイオリンの華々しい活躍によって展開される。通常の再現部はなく、経過部によって次の楽章へと切れ目なく移行する。
第2楽章アダージョは、ブルッフならではの旋律美にあふれた歌謡楽章。
第3楽章「終曲」アレグロ・エネルジコは、精力的かつ華やかな終曲。力強く輝かしい第1主題と、朗々と歌い上げる第2主題によるソナタ形式により、音楽は次第に高潮し、最後はプレストで一気呵成に締めくくる。
(c)柿沼 唯 (作曲家)
マックス・ブルッフ(1838〜1920)は早くから作曲に非凡な才能を示し、旺盛な創作活動を展開して数多くの作品を書いたのだが、今日ではこのヴァイオリン協奏曲を代表として、「スコットランド幻想曲」および「コル・ニドライ」くらいが比較的ポピュラーなものとして親しまれているに過ぎない。ところが彼の創作の中心は、器楽曲よりむしろオラトリオや歌劇などの大がかりな声楽作品で、19世紀後半にはドイツで最も高く評価されたオラトリオ作曲家だったらしい。そしてその合唱作品は生前には盛んに演奏され、その名をヨーロッパ中に轟かせたという。その一方でブルッフは指揮者としても活躍し、また晩年には教育者としてもドイツの指導的立場にいた。その活躍ぶりはブルッフが受けた数々の文化勲章や名誉音楽博士号などから、また1907年からは芸術院副総裁を務めたことなどから明らかである。しかし彼がユダヤ系であるという理由からだが、1935年から45年にかけてナチスによって彼の作品が上演禁止とされたため、その余波として今日なお作品の多くが忘れ去られたままになっている。  第1楽章<イントロダクション> アレグロ・モデラート、ト短調、4/4拍子、自由なソナタ形式。切れ目なく次の楽章に入る。
 第2楽章 アダージョ、変ホ長調、3/8拍子、自由な形式の歌謡楽章。
 第3楽章<フィナーレ> アレグロ・エネルジーコ、ト短調、2/2拍子、ソナタ形式。
(無断転載を禁ずる)(C)福本 健

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