■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
糀場富美子:『輪廻』-そして,魂の新生のとき-
Kohjiba Tomiko: The Transmigration of the Soul
演奏時間:19'02"
初演:1995年アメリカ、サンタフェ室内楽音楽祭
楽器編成:Soprano(with hand held chime in 3rd mov.)
Fl,Pic,Cl,Hp,Tim,1 Pec(Marimba,Maracas,Glock),Str

この曲は、糀場富美子が1995年サンタフェ室内楽音楽祭にコンポーザー・イン・レジデンスとして招待され、同音楽祭の委嘱により作曲、初演された。糀場は、自ら生を受けた広島の原爆で亡くなった人々の鎮魂として、1985年『広島レクイエム』を作曲、ボストン交響楽団などで演奏され一躍注目された。それから10年後、その魂の行方を探していた糀場の思いは、この『輪廻』-そして,魂の新生のとき- として具現された。
輪廻(りんね)とは仏教やヒンズー教の根幹となる教義で、人が転生し、また動物などにも生まれ変わることを言う言葉。曲は、チベットの「死者の書」から、人間が死んで、また生まれ変わるまでの7週間(49日)の話をもとに、7つの楽章で表現している。
第1部:モルト・レント
舞台裏(または客席後方)からソプラノのボカリーゼ(母音唱)で、なまめかしい魂の響きが聞こえる。フルートとハープが呼応し、やがて弦楽器が加わり最初の頂点に達したところで、マリンバが受け継ぎ、カデンツ風の経過部分を奏する。
第2部:アレグロ
低弦の、はっきりとした4/4のリズムに乗り、クラリネットとマリンバが掛け合う。ヴァイオリンが引き継ぎ、高揚に達した所で曲は3/4の部分に入る。ピッコロ、フルート、弦楽器が加わり、隙間のない音の壁が迫ってくる。
第3部:アンダンテ
曲は一転して静寂になり、ソプラノが鐘を鳴らしながら入場する。ブッダの言葉で『ああ短いかな、人の命よ…』と歌い出す。ソプラノとティンパニーとのディアローグ(対話)。
第4部:アダージョ
冒頭のメロディーがフルートにより奏され、すぐにボカリーゼに引き継がれる。ブッダの言葉の結尾句『妄執にとらわれてはならない』でこの楽章は閉じられる。
第5部:アンダンティーノ,アレグロ
間奏曲的な意味合いを持つ、オーケストラのみによる楽章。冒頭、始祖鳥の断末魔の叫びを思わせるするどい響き。ティンパニーによる、原始的な大地の鼓動は次第に興奮し、全曲の頂点に達する。
第6部:ポコ・レント
再び、ボカリーゼが甘美に歌われる。ここでソプラノは、はじめてオーケストラと同じメロディーを歌う。あたかも、それまでのわだかまりが解消されたかのように。
第7部:アダージョ
グロッケンのまじないを思わせる響きの中で、「輪廻」の秘技が説かれる。輪廻の概意とは、『「火」は生命活動を促すエネルギーであり、死者は修行により「輪廻」に至る。』
(無断転載を禁ずる)(C)佐々木 修
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