■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
武満徹:弦楽オーケストラのための 死と再生 ー『黒い雨』よりー
Takemitsu: Death and Resurrection
今年は武満 徹の没後10年にあたる。音楽が喚起するイメージの世界を独自の語法で追求し、20世紀を代表する作曲家の一人として世界的にその名を認められた武満は、すぐれた映画音楽の書き手でもあった。年間100本以上を観たという無類の映画好きでもあり、映像の世界に通暁していた彼が映画のために書いた音楽は、前衛的な実験音楽からすぐれて抒情的なものまで、その多彩な才能が発揮された魅力的なジャンルといえる。そんな映画音楽の成果を作曲者は晩年、いくつかの演奏会用の作品として編み直している。1994年から95年にかけてスイスの音楽祭のために編曲された<三つの映画音楽>、そして世を去る直前の1996年1月には、数曲の映画音楽が演奏会用のスコアに編み直された。
 今回演奏される<死と再生>は、そんな最晩年の武満が残したスコアの一つである。広島の原爆を主題にした井伏鱒二原作による今村昌平監督作品「黒い雨」(1989)の中の音楽で、弦楽の調べが心に染み入るような、武満徹独特の響きが聴かれる。なお、この作品の日本初演は、武満徹の没後5年にあたる2001年に、尾高忠明によって行われた。
(無断転載を禁ずる)(C)柿沼 唯(作曲家)

PC-index
Mobile-HOME