■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
マーラー:交響曲第4番ト長調
Gustav Mahler: Symphony No.4, G major
演奏時間:17',10'18',9',(54')
楽器編成:4Fl(1,2,3/Pic,4/Pic),3Ob(1,2,3/EH),3Cl(1,2/Es,3/B-Cl),3Fg(1,2,3/K-Fg)
4Hr,3Tp,Tim,4perc(Slgh-bells,Glock,Trgl,Cym,TT,BD)
Scordatura Vl in 2nd mov,Hp,Str
グスタフ・マーラー(1860-1911)の交響曲第4番の構想の起源は、民謡詩集「子供の魔法の角笛」の詩に作曲した1892年の歌曲「天上の生活」に遡ります。マーラーは、翌年この歌曲を「<角笛>にもとづくフモレスケ」の一曲として初演しますが、その後、交響曲第3番に歌曲を組み入れることを計画します。結局、第3番は「天上の生活」を除いた全六楽章で1896年に完成し、宙に浮いた歌曲を中核に据えて、1899年に新たに書き起こされたのが交響曲第4番です。
1901年11月25日、マーラーがミュンヘンで交響曲第4番を初演した時、奇抜な音楽を期待した聴衆は、古典的とも言える全四楽章の作品に失望気味だったと伝えられています。彼は、交響曲第1番の「人生の嵐」の喧噪から、第2番の「最後の審判」の大絵巻を経て、広大な宇宙を思わせる第3番へと膨れあがったイマジネーションを、ここで一旦収束させようとしたのでしょうか。ちなみに、交響曲の肥大は、「カッセル→ブダペスト→ハンブルク→ウィーン」というオペラ指揮者マーラーの「出世」と平行し、第4番はウィーン宮廷歌劇場の音楽監督という最高の地位を得た二年後に着手されています。
ただし、マーラーが描く天上のイメージは、常識的な予定調和の楽園ではなく、あちこちで交響曲の常識から外れた事件や分裂が起こります。それは、天使の無邪気さが、地上の人間の目には、ときとして理不尽に映るということかもしれません。天上へ迎え入れられた者の視点というよりも、天界を「到達できないものとして仰ぎみる」(渡辺裕)地上の視線を感じさせる作品です。
第1楽章は、ソプラノが歌う第4楽章の世界を予告する、一種の序曲。ソナタ形式ですが、形式の縛りは緩く、冒頭の鈴の音や、動物の鳴き声を思わせるホルンは、「本編」というべき第4楽章で情景描写に活用されます。また、奈落の底を覗くような展開部の素材は、この作品で使い切ることができなかったのか、後の交響曲第5番で再利用されることになります。
第2楽章、スケルツォでは、独奏ヴァイオリンが一音高く調弦されて「死神が弾き粗野に叫ぶような響き」(マーラー)を作り、中間のトリオは対照的に天国的なレントラー。現世と天上の対比が顕在化する楽章です。
第3楽章は、穏やかな最初の旋律と、表情が曇る第二の旋律を交互に変奏する形式(AB-A'B'-A")。第2変奏(A")が無邪気な子供のように暴走した後に、啓示的な大音響が降臨します。マーラーの弟子ブルーノ・ワルターは、この楽章を「聖ウルズラの微笑み」という第4楽章の歌詞と関連づけて理解していたようです。
第4楽章は、楽譜に「極度に控え目に歌手の伴奏をすることが重要」という注釈があり、是非とも、歌詞を頭に入れて、「歌曲」として聴くべきでしょう。創作の出発点になった屈託がなく残忍でもある天使の姿が歌われます。
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