■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K.622
Wolfgag Amadeus Mozart: Concerto for Clarinet and Orchestra in A major,K.622
演奏時間:12',7',6',(25')
楽器編成:2Fl,2Fg,2Hr,Str
モーツァルトが生まれたのは1756年の1月27日の夜。そして亡くなったのは1791年12月5日の午前1時前とされています。今日演奏される《クラリネット協奏曲 イ長調》はその死の年の二ヶ月前に書かれた最後の完成作品と言ってもよいものです。
ところで、この曲は1784年に知り合って以来昵懇の仲であった当時のクラリネットの名手シュタードラーのために書かれたのですが、クラリネットを用いたモーツァルトの作品が名曲ぞろいなのはシュタードラーという存在があったからこそだと言われています。
そもそもクラリネットという楽器は18世紀初頭に現れ、その世紀中頃に前古典派のマンハイム楽派の作曲家たちが重要視し始めたものの、モーツァルトでも交響曲では1782年の第35番「ハフナー」で、ハイドンに到っては1793年の第99番で初めて取り入れたくらいの楽器でした。ところが、シュタードラーと出会うことによってモーツァルトは、潜んでいたクラリネットの能力と本質を射ぬき、その魅力を開花させて世の中に示したのです。それは、《管楽器とピアノのための五重奏曲》や《クラリネット五重奏曲》、そしてこの作品に見事に現れるのですが、この楽器の音質が持つ情感の深さと官能性がまさに彼の音楽の本質を掬いとるにふさわしいものであったとも思われます。
いずれにせよ名曲に多言は無用です。この音楽と死との関係について考えるのも、じっくり味わってからでも遅くはありますまい。
(無断転載を禁ずる)(C)網干 毅