■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
リヒャルト・シュトラウス:4つの最後の歌
Richard Strauss: Vier letzte Lieder
演奏時間:5',5',6',8',(24')
楽器編成:4Fl(2Pic),2Ob,EH,2Cl,Bs-Cl,3Fg(K-Fg)/4Hr,3Tp,3Tb,Tub/Tim/Cel/Hp/Str
R.シュトラウス:4つの最後の歌
晩熟のエルガーが英国の田園地方でローカル音楽家として日々を送っていた頃、音楽先進地ミュンヘンで早熟の天才の名を欲しいままにしていたのがリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)である。ベートーヴェン後期に始まる音楽のロマン主義の空気を吸って育ち、巨大管弦楽を駆使する交響詩や、ヴァーグナーの道を先に進めるオペラを次々に発表。指揮者としても、ヴィーン帝立歌劇場を筆頭に、ドイツ語圏最高の音楽家を自由に操るポジションを歴任する。同じロマン主義者としてのエルガーの才を見抜き、大陸に紹介したのもこの指揮者だった。19世紀ロマン派の音楽を突き詰めれば所謂現代音楽に向かうが、その一歩手前で踏みとどまり、20世紀前半ドイツ語圏の普通の音楽愛好家の趣味を代弁した最高級の音楽技術者が、シュトラウスだった。
第2次大戦の敗北に自己陶酔的な政治的ロマン主義の夢想は醒め、ドイツ語圏は世界帝国中心の地位を失った。ロマン派が何よりも大切にした人間の個性や感性に、人々は懐疑の眼差しを投げるようになる。芸術音楽は、危険で半端な人間の内面や情緒を忌避し、徹底した理論性を目指す。《4つの最後の歌》は、そんな時代の流れに抗い、世紀末ロマン派耽美趣味が崇高な精神美に到り得ると証明した傑作。「私はもう同時代の作曲家ではありません。私が85歳でなお生きているのは偶然に過ぎないのです。(シュトラウス)」
(無断転載を禁ずる)(C)渡辺 和(わたなべやわら/音楽ジャーナリスト)