■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
リヒャルト・シュトラウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品8
Richard Strauss: Concerto for Violin and Orchestra in D minor,TrV110,Op.8
演奏時間:30'
楽器編成:2Fl,2Ob,2Cl,2Fg,4Hr,2Tp,Tim,Str
リヒャルト・シュトラウス(1864〜1949)と言えば、オペラと交響詩、それに歌曲の分野において重要で特徴ある作品を数多く残した、ドイツ後期ロマン派の最後に位置する作曲家であるが、協奏曲は意外と少なく、ブルレスケ、家庭交響曲のためのパレルゴン、パンアテネ行進曲(いずれもピアノと管弦楽のための作品)といった協奏的な作品を除くと5曲しかない。それらは作曲時期において、初期の1880年代前半と晩年の1940年代に大別されるが、そのうち最も早く書かれたのがこのヴァイオリン協奏曲で、1880年から1882年にかけて作曲された。つまりシュトラウスが16歳から18歳にかけてということであるが、父親がミュンヘン宮廷管弦楽団の優秀なホルン奏者だったこともあってだろう、早熟のシュトラウスは6歳から作曲を始めており、正規に作曲の勉強を始めたのも11歳からで、この協奏曲の作品番号からも分かるが、1880年までには弦楽四重奏曲(作品2)や交響曲ニ短調、13吹奏楽器のためのセレナード(作品7)などをすでに作曲していて、かなりの経験を積んでいた。
ところでシュトラウスが最初の協奏曲の独奏楽器にヴァイオリンを選んだのは何故だろうか。彼は作曲において、最初のうちに強く関心をもっていたのが、ヴァイオリンとホルンだったからである。ヴァイオリンは幼い時から学んでいた楽器だし、ホルンは言うまでもなく父親の楽器だった。実際、彼はこのヴァイオリン協奏曲のあと、1883年には最初のホルン協奏曲を作曲しているのである。こうした楽器への関心あるいは好みは、その後のシュトラウスの諸作品におけるこれらの楽器の活用と効果に如実に示されている。
さて、このヴァイオリン協奏曲だが、まさしく若々しいシュトラウスの意気込みが随所に感じられると同時に、ロマンティックな香りに溢れている佳品である。初期の作品に共通する点として、勉強してきた古典派の形式感やロマン派の情緒などに則っているのはこの曲も同じだが、すでにシュトラウス独自の個性が至る所に顔を出しているのも確かである。
第1楽章 アレグロ、ニ短調、4/4拍子、ソナタ形式。まさしく古典的な形式でまとめられた規模の大きい楽章だが、ロマン派的な気分も豊かな音楽になっている。
第2楽章 レント・マ・ノン・トロッポ、ト短調、3/8拍子、3部形式。ここで主調の平行調であるヘ長調をとらず、下属調をとっているところがユニーク。ヴァイオリンの歌う特性が良く生かされた美しく感傷的な音楽である。
第3楽章〈ロンド〉 プレスト、ニ長調、2/4拍子、ロンド形式。快活なジーグ風の主題による音楽で、これまで以上にヴァイオリンの演奏技巧を駆使した音楽。
(無断転載を禁ずる)(C)福本 健