■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
シューベルト:交響曲第9(8)番ハ長調D.944「ザ・グレイト」
Frantz Schubert: Symphony No.9(8) in C major,D.944 "The Great"
演奏時間:14',12',10',12',(48')
楽器編成:2Fl,2Ob,2Cl,2Fg,2Hr,2Tp,3Tb,Tim,Str
シューベルト(1797-1827)のロマン性は、形式とは無縁なところに顕れる。完成された交響曲としては最後の作品となったこのハ長調大作も、形態は古典派4楽章を真面目に守っている。が、その内容たるや、冒頭ホルンが限りない憧れを歌い、第2楽章では優しい響きが天から降りてくる。形の古典性と、内容のロマン性の乖離の甚だしさこそが、この作曲家独自の味わいなのだ。 ところで、この交響曲の呼び名である。総計13作が試みられたとされるシューベルトの交響曲創作の中で、楽譜が再現できる状態にあるのは8曲。1818年のハ長調交響曲(6作目)までは問題ないが、そこから先が混乱している。21世紀初頭の現在、このハ長調大作は8番と呼ばれることが多い。ほぼ完成した4楽章スケッチが存在する1821年のホ長調交響曲を数えれば第9番(別人が後に補筆完成した演奏版がある)。出版順なら、1865年まで発見されなかった「未完成」の前で、第7番と呼ぶ可能性も。記録だけが残る「グムデン・ガスタイン交響曲」も数に入れ、10番とする説もあった。ちなみに恐らく日本で一番容易に手に入るこの作品のミニチュア総譜(音楽之友社版)表紙には「交響曲第9(7)番」と記され、8という数はどこにもない。 作曲年代も混乱しており、1825年から翌年にかけての作曲というのが定説だ。作者の没後にシューマンが1838年に楽譜を発見し、「天国的な長さ」と評したのは、余りにも多い音型の繰り返し故か(愛称の「ザ・グレイト」とは、「あの大きな奴」という業界符丁である)。翌年のライプチヒでの初演はメンデルスゾーンが行っている。そんな経緯からか、楽譜は音程とテンポ、楽器法までは書かれたトルソーのようなもので、細かい指定は皆無。演奏解釈の入る余地がかなりあり、楽譜に指定のない演奏上の因習も多い。結果として、使用楽譜や指揮者の楽譜に対する考え、シューベルト像などによって与える印象が全く違う、聴き比べが極めて面白い作品になっている。
さて、ヴィーンとイタリアで学んだ寺岡清高の解釈やいかに。 第1楽章、ホルン信号が導く序奏から、ソナタ型式。コーダでは序奏主題が壮大に戻るのが印象的だ。イ短調の第2楽章は、この世で最もロマンティックな交響曲楽章だろう。管楽器がさり気なく聴かせるいかにもこの作曲家らしい小唄が魅力的。中間部分で、シューマンが「天の使いが潜んでいる」と述べたホルンが響く。第3楽章、ブルックナーの先輩のような巨大な田舎風スケルツォ。第4楽章は、オスティナートとソナタを融合させた激烈な音楽。
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