■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調作品54
Robert Schumann: Concerto for Piano in a op.54
演奏時間:12',5',11',(31')
楽器編成:2Fl,2Ob,2Cl,2Fg,2Hr,2Tp,Tim,Str

 シューマン(1810〜1856)のピアノ協奏曲はこの1曲だけしかない。若い頃ピアノ協奏曲の作曲を試みながら、結局完成しないで終わったのは、ピアノの技法よりも管弦楽の用法に苦心し、満足するに至らなかったためと言われる。しかしその10数年後に完成したこの協奏曲では、それらの事柄が見事に克服され、優れた作品に仕上げられている。彼はピアノと管弦楽のための作品として、まず1841年に「幻想曲イ短調」を作った。この頃より、それまでのピアノ独奏曲中心の傾向から脱して、管弦楽作品にもその才能を発揮し始め、交響曲などに優れた作品を書いてゆくようになる。そして管弦楽に対して自信をつけた彼は、従来から意図していたピアノ協奏曲の作曲にとりかかったのである。前述の「幻想曲」の成功から、それを元にした協奏曲にしようと決め、この「幻想曲」にカデンツァと終結部を書き加えて第1楽章とし、新しく「間奏曲」と題する第2楽章と、終楽章を作曲して1845年に完成した。
 ロマン派の協奏曲にありがちなヴィルトゥオーゾ志向が表面に出ないのはシューマンの意図したところだが、ピアノの技法、管弦楽の用法がよく練られており、シューマン独自の幻想的で内燃的な、まさにドイツ・ロマン派音楽の世界を生み出している。曲は、アレグロ・アフェットゥオーソの第1楽章、アンダンテ・グラツィオーソの第2楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェの第3楽章からなり、第2、第3楽章は切れ目なく演奏される。
(無断転載を禁ずる)(C)音楽評論家 福本 健

■シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54
シューマンは1845年1月に入ってからクララに対位法を教え始めるなどドレスデンで次第に精神的な落ち着きを取り戻していく。そしてシューマンは1841年にライプツィヒで書いた「ピアノと管弦楽のための幻想曲イ短調」に5月から7月にかけて「ピアノと管弦楽のためのロンド」と「インテルメッツォ」を書き加えて「ピアノ協奏曲イ短調」を完成した。曲は1846年1月1日ライプツィヒ・ゲヴァントハウスでクララによって初演された。
第1楽章 イ短調 4/4拍子 ソナタ形式 冒頭の第1主題はその中の下降音型がクララのモットー(反復楽句)としてこの楽章を様々な色合いで特徴づける。この第2主題はハ長調に転じて奏され、二つの主題で展開される。最後のシューマン自身によるピアノ・カデンツはまさにクララとの愛の記念碑。
第2楽章 インテルメッツォ ヘ長調 2/4拍子 三部形式 主部の主題はクララのモットーの余韻を漂わせ、ゆっくりと優雅に秘めやかな愛の囁き、中間部はチェロの旋律に乗ってピアノが奏でる深い思いを弦と木管が引き継ぐ。再び主部に戻り、クララのモットーの反復とともに終楽章に入る。
第3楽章 イ長調 3/4拍子 ソナタ形式 終楽章は生き生きと明るい希望に満ちた主題で始まる。軽い足取りで奏される第2主題はシンコペーションや複リズムの試みに興じるシューマンの姿が目に浮かぶ。喜々とした独奏ピアノの展開はオーケストラの全奏とともに高まり力強く全曲を結ぶ。
(無断転載を禁ずる)(C) 中原 昭哉(音楽評論家)

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