■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 作品77(99)イ短調
Dmitry Shostakovich: Concerto, Violin, No.1, op.77(99), in a mimor
演奏時間:12',6',16',5',(39')
楽器編成:3Fl(1.2.3/Pic,3Ob(1.2.3/EH),3Cl(1.2.3/Bs-Cl),3Fg(1.2.3/KFg)
4001/Tim,2Perc(Xyl,Tamb,TT)Cel,2Hp(1 part),Str

○ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 op.77
ショスタコーヴィチ(1906-75)はソヴィエト時代のロシア音楽を代表する作曲家です。当然のことながら、ロシアの政情を反映して、体制側からの批判に直面し、党の理念に同調することを求められながら、重層的で多義的な書法を編み出して、亡命することなく芸術家としての信条を貫きます。
このヴァイオリン協奏曲は1947年6月21日に着手され、スコアが完成したのは1948年3月24日でした。しかしオイストラフのソロ、ムラヴィンスキーのレニングラード・フィルによる初演は1955年10月29日で、大幅に遅れています。芸術活動に対する党の規制のためです。1948年の第1回ソヴィエト作曲家会議で北カフカスの内戦を描いたムラデリのオペラ「偉大な友情」が「形式主義的傾向」にあると批判され、ショスタコーヴィチの交響曲第8番、第9番も標的にされました。粛清です。スターリンの没後、ハチャトゥリアンの反論による雪解けまで、初演は自粛されました。曲は伝統的な急緩急の3楽章ではなく、交響曲と同じ4楽章で書かれています。しかも伝統的なソナタ形式ではなく、自由な組曲のような構成になっているところが特徴です。
第1楽章「夜想曲」(モデラート)は導入部のある3部形式です。ヴァイオリンのテーマは無限旋律のように延々と続きますが、その暗い曲想は「夜想曲」というよりは実質的に「エレジー」です。
第2楽章「スケルツォ」(アレグロ)は複合3部形式で、速いリズムと苦い節まわしで始まります。中間部のトリオは民族的な踊りです。曲の諧謔と風刺の作者のイニシァルがDSCH(レミ♭ドシ)と音名のアナグラムで記されています。
第3楽章「パッサカリア」(アンダンテ)は主題と8つの変奏からできています。主題は弦とティンパニーにホルンのファンファーレで始まり、ヴァイオリンのソロに引継がれます。最後の変奏はヴァイオリンの長大なカデンツァになって展開し、アタッカでフィナーレに続きます。
第4楽章「ブルレスク」(アレグロ・コン・ブリオ)はロンド形式で、木管群が主題を華やかに奏します。第1エピソードは弦楽の伴奏でソロ・ヴァイオリンが歌い、第2エピソードはホルンの通奏で木管が歌います。祝祭的な性格はパロディー感覚たっぷりです。
(無断転載を禁ずる)(C)音楽評論家 鴫原 眞一

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