■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調
Jean Sibelius: Concerto for Violin and Orchestra in D minor,Op.47
演奏時間:16',8',7',(31')
楽器編成:2Fl,2Cl,2Cl,2Fg,4Hr,2Tp,3Tb,Tim,Str
自らがヴァイオリン演奏家だったシベリウスが遺した唯一の協奏曲は、「フィンランディア」や第2交響曲の成功で勢い上がる気鋭の国民楽派作曲家時代、1903年に作曲されている。名奏者ブルメスターのために書かれ翌年にベルリンで初演された最初の版は、作曲者自身によって撤回され大幅に修正、05年に同じベルリンでリヒャルト・シュトラウス指揮ハリル独奏で改訂初演された。現在手に入る楽譜はこの改訂版である。古典派協奏曲の姿を踏襲した急緩急3楽章だが、要求する技巧の水準が高いだけでなく、音楽的な思考も独特。特にバランスを逸して巨大な第1楽章では、主題を出す過程が音楽的要素となったり、カデンツァが展開部に組み込まれたりと、古典の雛形を破る非常識な事態が連発する。それでいて聴衆に難解とも革新的とも感じさせないのは、さすがに大作曲家の腕だ。
第1楽章、4部に分割されたヴァイオリン群が弱音器を付けニ短調の世界を淡くほの暗く描く上に、独奏ヴァイオリンがアレグロ・モデラートで延々と第1主題部を主導する。短いカデンツァを終え、うねるような管弦楽が第2主題部を確保すると、再登場した独奏が変ニ長調で北欧の大空に天翔る雄大な歌を奏でる。一転、管弦楽がアレグロモルトで荒れ、静まるや、モデラートアッサイで独奏ヴァイオリンが長大なカデンツァで展開を開始。以降、諸主題が幻想曲のように現れ消え、まるで新しい要素も登場、壮絶なコーダに至る。クラリネットとオーボエの呼びかけに始まるアダージョ・ディ・モルトの第2楽章は、変ロ長調の穏やかな三部形式の歌謡。低弦、ティンパニー、独奏ヴァイオリンのそれぞれが少しずつずれるリズムを刻んで始まる第3楽章、ニ長調アレグロ・マ・ノン・タント。ふたつの主要楽節を繰り返す中に、重音を連発したり、裏声のようなフラジョで旋律を綴ったりと、独奏が難技巧を見せつける。
(無断転載を禁ずる)(C)渡辺 和