■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
バルトーク:管弦楽のための協奏曲
Bartok,Bela: Concerto for Orchestra
演奏時間:10',6',7',4',9',(36')
楽器編成:3Fl(1.2.3/Pic),3Ob(1.2.3/EH),3Cl(1.2.3/Bs),3Fg(1.2.3/KFg)
4Hr,3Tp,3Tb,Tub,Tim,1perc(BD,Cym,sus-Sym,SD,Trgl,TT),2Hp,Str
 ベラ・バルトーク(1881-1945)は、1840年、ナチス・ドイツに好意的だったハンガリーの政情を嫌いアメリカへ移住します。ニューヨークでは絶望的なほど偏屈に周囲から心を閉ざし、音楽活動もままならなかったようですが、1943年にボストン交響楽団の指揮者クーセヴィツキーから作曲の依頼があり、「管弦楽のための協奏曲」を同年8月から10月に書き上げました。バルトークの作品としては例外的にわかりやすく、作曲の手の内を明かすようなところがあり、アメリカの聴衆に向けた「作者自身によるバルトーク入門」とでも言うべき作品です。
 第1楽章「序章」は、導入部をともなうソナタ形式。低弦の4度の堆積と、甲高い高音の東欧風旋律(導入部)、荒れ狂う半音階(第1主題)と、のどかな五音音階(第2主題)など、性格の異なる素材がむきだしの形で対比されます。金管のギラギラしたファンファーレが再現部の開始を告げるなど、全体の構成も教科書のお手本のように明快です。
 第2楽章は素朴な舞曲による一種の数遊び。前半は「対の遊び」というタイトルどおり、管楽器の「二」重奏が続きます。ところが、金管コラールの美しい「三」和音が折り返し点となり、後半では、二重奏+対旋律(=三重奏)、二組の二重奏(=四重奏)、二組の二重奏+対旋律(=五重奏)と楽器の数が増殖します。
 第3楽章「エレジー」は、戸外から鳥の鳴き声が聞こえる夜の音楽。第1楽章の序奏の旋律が戻ってくるのは、孤独な夜に死の恐怖が蘇るかのようです。
 第4楽章の「中断された間奏曲」という題名は、ドビュッシーのピアノ曲「中断されたセレナード」を連想させます。オーボエとチェロのおだやかで民謡調のやりとりを邪魔する中間のけたたましい旋律は、ショスタコーヴィチの交響曲第7番(当時、対独プロパガンダのため連合国側で繰り返し演奏された)のナチスの行軍を表す主題のパロディだと言われています。本当だとしたら彼自身の境遇にも関わる重い話を明るく語ってみせる捨て身のユーモアと言えそうです。
  第5楽章は吹っ切れたように猛スピードで駆け抜けます。都会の喧噪を思わせる弦楽器の無窮動を軸にした一種のソナタ風ロンド。導入のホルンのファンファーレがあとでフーガに再利用されたり、中間部分でトランペットの主題がグロテスクに変容するなど、展開は縦横無尽。最後はそのトランペット主題の力強い再現で幕を閉じます。
(C) 白石知雄(無断転載を禁ずる)

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