■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
ベンジャミン・ブリテン(1913〜1976) シンプル・シンフォニー 作品4
Britten: Simple Symphony, Op.4
演奏時間:16' 楽器編成:Str
20歳を迎えたばかりの若きブリテンは、9〜12歳の間に書いた旋律を基にした、弦楽合奏(または弦楽四重奏)のための曲に着手した。翌年に完成した全4楽章の作品は、彼が幼少期に師事したヴィオラ教師、オードリー・アルストンに献呈。もともとは子供の手になる旋律だけに全体的には軽いタッチに仕上がっているが、主題をきびきびと展開してゆく手法は実に見事で、弦楽合奏のための主要なレパートリーとなるのに時間はかからなかった。そして、時に垣間見せる深い精神性からは、後の巨匠の早熟ぶりもうかがい知れる。また、楽譜の上では、開放弦やハーモニクスで効果的に音を響かせたり、あえてセオリーとは逆のボウイングを指示したりと、弦楽合奏の表現の可能性を広げようとの気概も感じ取れる。そんな作曲者の意図をどれだけすくい取れるかが、演奏のポイントだろう。今回の演奏にあたって、イシイ=エトウも「注意深く、繊細にこの作品を表現しなければ」と語っている。
 第1楽章 「騒々しいブーレ」 ごく短い序奏の後で、急かされるような旋律を各パートが受け渡してゆく。別の歌曲から引用された、ゆったりとした旋律を時折りはさみながら、次第に緊張感を高めてゆく。最後はコーダに入り、ピアニシッシモのピツィカート2打ちが次の楽章を予感させる。
 第2楽章 「おどけたピツィカート」 奏者全員が弓を置き、ピツィカートで演奏するユーモラスな6拍子は、聴く者を浮き浮きさせる。作曲者自身によるダイナミクスの指示は、実に細かい。コードが印象的なトリオ部分は、どこかイギリス民謡風。開放弦を意識的に使い、音響効果をねらっている。曲は冒頭へと帰り、コーダに入って、勢いはそのままに曲を終える。
 第3楽章 「感傷的なサラバンド」 前の楽章と打って変わり、しっとりと落ち着いたシリアスで重々しい楽想が、悲壮な情熱をたたえて進行してゆく。中間部の穏やかなワルツで束の間の救いを得るが、再び冒頭の楽想がさらなる絶望感を連れてくる。感情の高ぶりもやがて、ディミニュエンドの彼方に去ってゆく。
 第4楽章 「浮かれ気分のフィナーレ」 短い序奏の後、いきなり疾走を始める第1主題は少し深刻さをたたえているが、すぐに爽やかな第2主題が気分を変える。再び登場した第1主題は展開され、転調して人懐こい表情に。ゲネラルパウゼの後、さらに増してゆく勢いがやがて頂点に達した時、一瞬の静寂を経て、晴れやかなコードが全曲の終わりを告げる。(無断転載を禁ずる)(c)寺西 肇(音楽ジャーナリスト)

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