■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
ハチャトゥリアン:組曲「ガヤネー(ガイーヌ)」
Aram Il'yich Khachaturian: Gayaneh Suite
剣の舞(Sabre Dance)
演奏時間:2'
楽器編成:2Fl,1Pic,2Ob,EH,2Cl,B-Cl,2Fg,A-Sax,4Hr,3Tp,3Tb,Tub,Tim,3perc(Xyl,sus-Cym,W-Block,SD,Tambn,Cel),Hp,Str
「ガヤネー」といえば、だれでも「剣の舞」を思い浮かべる。これしか知らない人も多い。それも無理のないはなしで、第2次大戦後に作曲したバレエ音楽「スパルタクス」はしばしば上演されるのに、同じバレエ音楽の「ガヤネー」は、ほとんど上演されず、オーケストラ用の組曲の方が有名になってしまった。
もともとは「幸福」というバレエのために書かれたが、台本が不完全だったため、失敗に終わる「不幸」となった。だ がこの音楽がのちの「ガヤネー」の基礎となった。カフカス地方アルメニアの共同農場に働く清純な女性ガヤネーを中心 に、さまざまな恋愛や戦闘が描かれ、アルメニアとロシア両民族の友愛がうたわれるバレエである。ただし1942年の原典版と1957年のボリショイ劇場公演版にはストーリー、音楽に非常な違いがある。さらにハチャトゥリアンは原典版初演後、演奏会用に三つの組曲を書いた。これは純粋にオーケストラ用のもので、バレエのナンバーとは順序が違ううえに、曲数もずいぶん選択されている。
■プロコフィエフの交響曲第5番はこちら
むすび:
ハチャトゥリアンは、自分が育ったカフカスの民族音楽を、モスクワで習得した管弦楽法によって、大胆に華麗に仕上げした。プロコフィエフの方は、ロシアの民族性を、西欧の音楽技法とほどよく調和させ、そこに独得の構成感を生んだ。 同じバレエ音楽でも「ガヤネー」とプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」を聴き比べると、その対照は明らかである。しかし窮極において、どちらも実はロシア的なのである。ハチャトゥリアンは東方から一歩ロシアに歩み寄り、プロコフィエフは西欧的なものから一歩ロシアに回帰した。二人の足跡をたどると、更めてロシアのふところの深さを痛感させられる。
(C)雑喉 潤 (音楽ジャーナリスト)