■大阪シンフォニカー交響楽団-楽曲解説DB
リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調S.124
Franz Liszt: Piano Concerto No.1
演奏時間:6',7',6',(19')
楽器編成:2Fl,Pic,2Ob,2Cl,2Fg,2Hr,2Tp,3Tb,Tim,2perc(Trgl,Cym),Str

 かつてハイドンが仕えたことでも知られるハンガリーの大貴族エステルハーズィ家の領内に生まれて、パリでピアニストとして圧倒的な成功を収めたフランツ・リスト(1811-1886)はハンガリーの人々の誇りであり、帰国するたびに国賓待遇の歓待を受けていました。しかし、リストが音楽院の設立を通じて祖国の音楽活動に本格的に関与するのは、晩年1870年代以後のことです。ピアノ協奏曲第1番の最初の草稿は、リストのピアノのヴィルトゥオーソ時代、1835年に書かれました。その後何度か修正を繰り返しますが、完成したのは彼が演奏活動を一旦停止して、ゲーテゆかりのドイツ東部の町ワイマールで作曲と宮廷楽団の運営に力を入れていた1853年です。この協奏曲が同時期のロ短調のピアノソナタや一連の交響詩に比べて、はるかに明るく華やいだ気分に包まれているのは、もともとパリで着想されたからかもしれません。
 英雄的な身振りで聴き手を圧倒する第1楽章(アレグロ・マエストーソ)、夢見がちな歌と深刻な嘆きが交錯する第2楽章の前半(クワジ・アダージォ)、トライアングルの合図で軽やかに飛翔する後半(アレグレット・ヴィヴァーチェ)の各主題が、第3楽章(アレグロ・マルチアーレ・アニマート)の行進曲で再登場して、3つの楽章がソナタ形式のように関連づけられています(第1楽章と第2楽章前半がそれぞれ主要主題と副次主題、間奏風のスケルツォを経て、第2楽章の後半が展開部、第3楽章が再現部)。
 冒頭のテーマがいきなり半音階(ミb・レ・レb・ド・シ)あるいは全音音階(ミb・レb・シ)で調性の枠を踏み越え、その後も大胆な転調、楽器の鮮やかな対比など、斬新なアイデアが盛り込まれています。リストの進歩的な発想と行動力は、ロマン派とモダニズムというスタイルの違いを越えて、後世のハンガリーの音楽家たちに受け継がれたと見ることもできるでしょう。
(c)白石知雄

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