2012年01月14日
第69回名曲コンサート
曲目解説
新年の名曲コンサートは、優雅なワルツを中心に、温かな雰囲気を醸し出す小品集でスタートです。
ウィーン・フィルの創設者としても知られる、オットー・ニコライ(1810〜49)が作曲した「ウィンザーの陽気な女房たち」は1849年にベルリンで初演。シェイクスピアの戯曲に基づく、好色な老貴族を奥方たちが懲らしめる喜劇は、気品と洒脱に溢れた華やかな序曲で幕を開けます。ノルウェーの作曲家、ヨハン・スヴェンセン(1840〜1911)の「ロマンス」は、澄み切った青空に春の喜びを謳うような作品。首席ソロコンサートマスターの森下幸路さんが、美しい独奏でホールを満たしてくれます。未亡人をめぐる恋の駆け引きを描いた「メリー・ウィドウ」は、ハンガリー出身のフランツ・レハール(1870〜1948)作のオペレッタ。「ワルツ」は第3幕で歌われるデュエット「閉ざした唇に」が基になっています。ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)は「ロマンス」と題した作品を2曲書いていますが、再び登場の森下さんの独奏で第2番を。穏やかで流れるような旋律は、「運命」などで見せる楽聖のイメージと対照的ですね。フランツ・シューベルト(1797〜1828)の「軍隊行進曲」は元々、1818年作曲の3曲からなるピアノ連弾曲。今日は第1番を管弦楽編曲版で。
神童アマデウスの父、レオポルド・モーツァルト(1719〜87)も優れた作曲家で、「おもちゃの交響曲」は特に良く知られています。本日取り上げた「そりすべり」も鈴の音や鞭の音、鳥の声が端々から聞こえてきて、ドイツ語圏の素朴な冬を描写。レオポルドと言うと恐い父親のイメージですが、意外と洒落っ気のある人だったのかも。次も「そりすべり」ですが、アメリカのオーケストレーションの達人ルロイ・アンダーソン(1908〜75)の作曲。クリスマス・シーズンが近づくと、街角でよく耳にします。フランスのエミール・ワルトトイフェル(1837〜1915)が書いた「スケートをする人々」は、かつて「スケーターズ・ワルツ」と呼ばれた優雅な旋律ですね。アラム・ハチャトゥリャン(1903〜78)の付随音楽「仮面舞踏会」からのワルツは、フィギュア・スケートの浅田真央選手が演技で使ってから、ますます有名になりました。次もまた、アンダーソンの作品。「舞踏会の美女」は魅力的なワルツで、夢の中の舞踏会に参加している気分に。そして、森下さんが独奏で3度目の登場。まずはフランスのジュール・マスネ(1842〜1912)の歌劇「タイス」から瞑想曲を。古代ギリシャの娼婦を主人公とした歌劇自体は忘れられましたが、劇中で使われたこの美しい曲だけはよく知られています。そして、名ヴァイオリニストだったフリッツ・クライスラー(1875〜1962)作の「美しきロスマリン」でウィーンの粋を、美音で披露してくれます。最後は、昨年が生誕200年のメモリアル・イヤーだったフランツ・リスト(1811〜86)の作品から、「ハンガリー狂詩曲」第2番を。東欧の祭りを思わせる熱狂の中で、コンサートの幕を閉じます。
どうです、皆さん? 聴き終えて、心と身体が温まりましたか?
(C) 寺西 肇(音楽ジャーナリスト)(無断転載を禁ずる)
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