実質的にはニュー・イヤー・コンサートで、副題は「冬はワルツを楽しもう」。ただしワルツといっても、シュトラウス・ファミリーのウィンナ・ワルツではなく、ワルドトイフェルの「スケータース・ワルツ」、アンダーソンの「舞踏会の美女」、ハチャトゥリアンのバレエ「仮面舞踏会」のワルツなど、フランス、ロシア、アメリカのワルツが特集されていた。ウィーンにゆかりのあるワルツは、レハールの「メリー・ウィドウ」のワルツのみで、後は大阪響のソロ・コンサートマスター、森下幸路のソロをフィーチュアしたヴァイオリン小品とか、リスト、シューベルト、ニコライなどの管弦楽曲など、ややごった煮的なプログラム。指揮は東京フィルの指揮者を務める渡邊一正だった。
 演奏は渡邊の楷書風の丁寧な指揮によって、いずれも手抜きのない高水準の好演ぶりだったといえる。とり分け森下のヴァイオリンが、結構味のある表現を聴かせて、聴き手を十分に楽しませてくれた。スヴェンセンのロマンスなど、めったに聴くチャンスのない曲を、楽器を存分に鳴らせて美しい抒情を歌い上げていた。このほかベートーヴェンのロマンス第2番、マスネの「タイスの瞑想曲」、クライスラーの「美しきロスマリン」、さらにはアンコールで弾いたモンティの「チャルダシュ」など、オケとしっとりと溶け合った、コンマスならではのアンサンブルを聴かせた。渡辺の指揮は全体に生真面目そのもので、こうした小品の場合はもう少し遊びの精神があってもいいが、むしろその教科書的な誠実さを高く評価すべきかも。そして大阪響の優れた演奏力も、この場合大いにあずかっていたことも論を俟たない。中でもリストのハンガリー狂詩曲第2番と、シューベルトの軍隊行進曲は、なかなか気迫のこもった快演になっていたと思う。新春らしい肩のこらない、楽しめるコンサートだったといえる。
(1月14日・ザ・シンフォニーホール)
(C)出谷 啓
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