
大阪シンフォニカー交響楽団2009年度定期演奏会の曲目について
児玉 宏氏
大阪シンフォニカー交響楽団
音楽監督・首席指揮者今年度お招きした5人の客演指揮者の方々には、「弦楽オーケストラだけで演奏する作品をプログラムに含める」という条件の下で、それぞれの選曲をお願いしました。
「シンプル・シンフォニー」「タリスの幻想曲」「弦楽セレナーデ」は、いずれも音楽ファンの方であれば誰でもご存知の名曲ばかりです。 「シンフォニエッタ」はフランスの作曲家ルーセルが1934年に作曲したものですが、1933年ナチス政権誕生で騒然としていたヨーロッパの政情を感じさせない、楽観的とも言える語法で書かれています。 1938年に書き下ろされたマルティヌー(チェコ)の「二重協奏曲」は、二つの弦楽オーケストラにピアノとティンパニを加えた編成で、バロック時代の「コンチェ
ルト・グロッソ」の伝統に沿った作品です。
同じ作曲家の「リディツェ」(1943年)は、1942年7月9日ナチス秘密警察の手によって殲滅された「ボヘミアの小村の名前」を題にした短い曲です。 人間としての尊厳を自覚し、正面から死を直視した人々の「勇気への驚嘆」と、生きることでその死を無駄にしない努力をする「未来の人々への励まし」が託された素晴らしい作品です。曲の終盤で有名な「運命の主題」が響きますが、これは大陸の反ナチス抵抗勢力支援のためにイギリスBBCが放送していたラジオ番組を認識するため当時使われていた「暗号」です。今回マルティヌー没後50年を記念して「二重協奏曲とリディツェ」をプログラムに載せることは、客演指揮者ヴァーレックさんへの特別なお願いでした。私たちの願いを快く受諾して下さったマエストロに、この場を借りて、厚くお礼を申し上げます。
ジークフリート・ワーグナーはリヒャルト・ワーグナーとリストの娘コジマの息子ですが、彼女が掲げた「ワーグナー家には天才作曲家は一人だけ」という傲慢な理念により、作品の演奏が長い間禁じられていた作曲家です。 今では交響詩というと「ドン・ファン」や「ティル」で知られるリヒャルト・シュトラウスが有名ですが、楽劇を創造した父と、交響詩の創始者を祖父に持つこの作曲家は、オペラだけでなく、交響詩や交響曲の分野でも興味深い作品を数多く残しています。
今年度も私たち独自の「変化に富んだ企画と選曲」で、皆様のお耳に「クラシック音楽の魅力と多様性」を直接お届けします。 どうぞご期待下さい。
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