糀場富美子作曲 大阪交響楽団創立30周年記念 堺をテーマとした委嘱作品が完成しました。
「−古えの堺へ−百舌鳥耳原に寄せる3つの墓碑銘」(初演)
"Sakai〜Immemorial〜Three Epitaphs of Mozu-mimihara"


糀場富美子 [作曲家]
Tomiko Kohjiba [Composer]

プロフィール

 東京芸術大学作曲科卒業、同大学院修了。85年(故)バーンスタイン氏の推薦で、大植英次指揮により初演された「広島レクイエム」は、小澤征爾指揮、ボストン交響楽団の定期演奏会をはじめ、国連デー(於ウィーン・オーストリーセンター)、広島交響楽団、米国ミネソタオーケストラ、NHK交響楽団、シアトルシンフォニーオーケストラ等のプログラムに取り上げられ、現在も世界各国で演奏されている。また、95年米国サンタフェ室内楽音楽祭にレジデンス・コンポーザーとして招待され、97年広島国体開会式のファンファーレを作曲する等、国内外で活動の場を広げている。
 作品に「佳運−尺八とオーケストラのための」(岡山シンフォニーホール委嘱)「ぽるとがるぶみ」(林望作詞)、「The Transmigration of the Soul」(サンタフェ室内音楽祭委嘱)「蒼い海と空のきわみに」(00年広島国民文化祭委嘱)「光る橋」(瀬戸フィルハーモニー委嘱)、「Song of Sedona」(05年サンタフェ現代音楽祭)、「ルブリョフの扉」、「未風化の7つの横顔」(06年別宮賞、芥川作曲賞受賞)、「月を食う空の獅子」(08年サントリー音楽財団委嘱)「生命の種まき」(10年八ヶ岳ミュージックセミナー委嘱)等がある。楽譜は全音楽譜出版、カワイ出版、音楽之友社等から出版されている。
 現在、東京音楽大学教授、東京藝術大学講師、日本現代音楽協会理事、日本ソルフェージュ研究協議会理事、日本ピアノ指導者協会評議員、他。

大阪交響楽団創立30周年記念委嘱作品
「百舌鳥耳原に寄せる3つの墓碑銘」
Three Epitaphs of Mozu-mimihara

糀場富美子(Tomiko Kohjiba)

 大阪交響楽団より堺をテーマにした曲をとの委嘱を受けたのは、拙作「The Transmigration of the Soul」を大阪シンフォニカー交響楽団(当時)で演奏していただいた数年前のことになります。その後楽団長の敷島さんからは、堺市のパンフレット、本等の資料を沢山にお送りいただきました。はじめは与謝野晶子の歌集の中から数篇の詩を選んで、ソプラノとオーケストラのための曲を書こうと思っておりましたが、ソリストを呼ばないで楽団だけで演奏できるものをとの要望で振り出しに戻ってしまいました。堺市の資料を見直し、やはり堺といえば古墳ではないか!と思い、それにちなんだオーケストラ作品を書く事に致しました。

 昨年秋、堺市を訪問致しました。仁徳天皇陵、そして偉大なる仁徳天皇の息子である履中、反正の両天皇陵を訪れ、お参りをしてきました。仁徳天皇までは兄弟で天皇を継ぐことはなかったようですが、仁徳天皇の第一子である履中天皇は、皇位を奪おうとした住吉仲皇子(反正天皇の同母兄)を、異母弟である後の反正天皇に命じて誅殺させます。その権力争いの凄まじさに人類不変の業を感じずにはいられません。

 この曲は続けて演奏される5つの部分で出来ていますが、私の思う三人の天皇の特徴的なイメージを捉えて表現しています。曲は、プロローグに引き続き偉大なる仁徳天皇、非情でアクティブな履中天皇、苦悩する反正天皇、そして時代を越えて存在する百舌鳥耳原の古墳群をイメージしたエピローグで構成しました。この曲を聞いて下さる皆さんが、百舌鳥耳原に思いを馳せて下されば幸いです。