00966580
 
 

2013年度 定期演奏会 公演批評

2013年度 定期演奏会 公演批評
 
第180回 定期演奏会
第180回 定期演奏会
第180回 定期演奏会
第180回 定期演奏会

≪作曲家の肖像画 Ⅴ“ドビュッシー”≫
2013年10月18日(金)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール
 
 今回の定期演奏会は《作曲家の肖像画》シリーズの第5回で、ドビュッシーがその対象である。一夜のコンサートをドビュッシーの作品だけで、というのは少々退屈するのではないかと思ったが、ドビュッシーの初期から晩年に至るまでの各時期の作品が4曲選ばれており、この作曲家の書法の変遷や円熟の度合いが感じられるプログラミングである。ただし演奏は作曲順ではなく、まず20世紀を迎える直前の「牧神の午後への前奏曲」、続いてそれより4年前の「ピアノと管弦楽のための幻想曲」、そして晩年の1912年に書かれたドビュッシー初のバレエ音楽「遊戯」、最後に1905年完成の交響詩「海」という順で演奏された。これらを、とても魅力的な表現で聴かせたのは、フランス音楽で高い評価を得ている矢崎彦太郎である。
 矢崎はこれまでにも当楽団に客演して優れた演奏を聴かせてきたが、今回も過去のそれらに劣らぬ佳演であった。まず冒頭の「牧神…」からして、実に柔らかい音と響きを生み出し、間の取り方や緩急の自在な動きによって、独特の空気感を醸し出して秀逸。この楽団から、これまで聴いたことがないような、まさにフランス的な音と表情を引き出して、まことに美しい演奏であった。
 続く「幻想曲」では児玉麻里が独奏者として迎えられていたが、楽譜を見ながらの演奏であったものの、軽やかさと強靱さを巧みに織り交ぜた美しいソロを聴かせた。こういう曲を弾かせると児玉は、やはり巧い。この曲は発売されているCDもわずかしかないという、かなり珍しい作品で、実演で聴くのは初めてだが、ピアノは装飾的な細かいパッセージを除くと主要なメロディはほとんど何らかの楽器とユニゾンで動くところが多く、技巧的にも特に華やかではないので、オーケストラの中にピアノのパートがあるといった感じ(それよりは少しはソリスティックではあるが)なので、構成的には協奏曲の趣だが、幻想曲にしたのだろうと思える。全体的には、後年のドビュッシーを思わせるようなところがあるにしても、概ね響きが厚ぼったく、いささか洗練味に欠ける印象。とは言え、こうした聴かせ所の少ない曲を、それなりに面白く聴かせたところは評価したい。
 「遊戯」は、このようなプログラミングで聴くと、やはり晩年の作品らしい斬新な和声や楽器法などが手に取るように分かって、これまた面白かった。何となく雰囲気で流すことなく、精緻かつ繊細に音にしており、明快でいて情感にも不足しない演奏になっていた。それは最後の「海」においても言えることで、それまで同様に実にデリケートかつ精妙に演奏されていて、ドビュッシーの音を十分に楽しませてくれた。そのどこを取っても無機的な音の連なりはなく、まさに音が音楽として生きているという感じ。響きの作り方、音量バランスのとり方、テンポの揺れなど、矢崎の優れた感性が窺えた演奏だった。
  
                                                      (C)福本 健
公益社団法人大阪交響楽団
Osaka Symphony Orchestra
〒590-0074
大阪府堺市堺区
北花田口町3-1-15 東洋ビル4F
TEL:072-226-5533
FAX:072-226-5544
 
 
四国支局
〒790-0051
愛媛県松山市生石町
649-11-402
TEL:089-947-4751
FAX:089-934-3577
 
 
201309301658395847.jpg
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
<<公益社団法人大阪交響楽団>> 〒590-0074 大阪府堺市堺区北花田口町3-1-15 東洋ビル4F TEL:072-226-5533 FAX:072-226-5544