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2013年度 定期演奏会 公演批評

2013年度 定期演奏会 公演批評
 
第178回 定期演奏会
第178回 定期演奏会
第178回 定期演奏会
曲目
第178回 定期演奏会

≪意外? 案外! 想定外。≫
2013年7月19日(金)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール 
 
 首席客演指揮者のキンボー・イシイ=エトウは、今回の定期を最後に、その首席客演指揮者のタイトル契約が終了する。それもあってかどうかは知らないが、今回のプログラムは20世紀の作品、しかもいずれも演奏が難しい曲ばかりが並べられており、かなり気合いが入っていると思わせられるもの。しかも公演のタイトルが《意外?案外!想定外》という、ちょっと奇妙なようで興味をかき立てられるものが付けられている。それに対応する曲は、20世紀の作曲家の曲としては【意外】に聴き易いスティーヴン・パウルスの「スペクトラ」、バルトークがスケッチの断片しか残さずに亡くなったため、他人が補筆完成させた【案外】に複雑な経緯を持つヴィオラ協奏曲、そしてこれら2曲のあとに続くには【想定外】といった感じのプーランクの「シンフォニエッタ」である。
 まずパウルスの「スペクトラ」だが、1980年の作としては、まさに意外なほど聴き易い。もちろん無調の、いわゆる現代音楽なのだが、素材となる動機や旋律的な動き自体が、どことなく愛嬌があったり、聴く者を惹きつける味のようなものがあって、決して前衛的ではない親しみやすさと面白さがある。各楽器の使用法も面白く、色彩感にも富んでいるのに、オーケストレーションが厚過ぎないので、スッキリ感もあるという、なかなかに魅力的な作品である。そして演奏も、もっときらめき感があるべきかと思えるにしても、十分にその持ち味を伝えるものだった。
 バルトークのヴィオラ協奏曲は、ごく一般的には弟子のティボール・シェルイが補筆完成した版が使われるが、今回の独奏者でベルリン・フィルの首席ヴィオラ奏者である清水直子は、一層技術的に難しいとされるネルソン・デッラマッジョーレとバルトークの遺児ペーター・バルトークによる補筆完成版(デッラマッジョーレ版)を採用した。その版の善し悪しは別にして、やはり少しは聴き慣れたシェルイ版のほうが、バルトークらしく聞こえる気がする。デッラマッジョーレ版は、少しオーケストラが控え目で薄い印象。しかし演奏は充実したもので、清水のソロが強い説得力を持つものだった。もう少しヴィオラらしいゴリッとした音が欲しいと思えるほど、清水の音は柔らかく美しいし、安定したテクニックに加えて緊迫感のある音の運びと表情が、実に聴き応えのあるものになっていた。オーケストラも堅実以上の健闘ぶりで充実していたが、全体にもう少し深さと厳しさが表れていれば、さらに感銘深かっただろう。
 最後のプーランクは、パウルスの作品に劣らず演奏が難しいと思える曲だが、なかなかに見事な演奏となっていた。特に活躍の多い管楽器に対する弦楽器群の音量バランスやフレーズの受け渡しなどに相当な配慮が必要だと思うのだが、それらが少しも無理なく成し遂げられていた。加えて表情も生き生きとしているし、軽妙さもまずまずの出来。洒落たセンスの良さという点では、必ずしも最善とは言えないかも知れないが、十分に魅力的に演奏された。もう少し全体に愉悦感が出れば、さらに楽しめたことだろう。
 最初の頃から比べると、このところ充実した演奏を聴かせるようになったイシイ=エトウの、今回も実力発揮の内容だった。首席客演指揮者からは退くが、大阪響と関係がなくなるわけではなく、今後も定期に登場する予定も入っている。また充実の演奏を楽しませて欲しいものだ。
(C)福本 健
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