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2013年度 定期演奏会 公演批評

2013年度 定期演奏会 公演批評
 
第177回 定期演奏会
第177回 定期演奏会
第177回 定期演奏会
曲目
第177回 定期演奏会

トリスタン秘話≪マティルデ・イゾルデ・マルトゥッチ≫
2013年6月18日(火)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール
 
 第177回定期は、音楽監督で首席指揮者の児玉宏の指揮。プログラムは生誕200年を迎えたワーグナーの作品と、児玉が続けているディスカヴァリー・シリーズとも言うべき、珍しい作品としてイタリアの作曲家マルトゥッチの作品を並べたもの。その中で、今回の聴きものは、断然ワーグナーだった。予告のチラシでは、楽劇「トリスタンとイゾルデ」の第1幕への前奏曲と、幕切れのイゾルデの愛の死の間に、ヴェーゼンドンク歌曲集が置かれていたのだが、実際の演奏ではヴェーゼンドンクの曲順を通常の順ではなく、作曲された順に並べ替え、しかも5つの歌曲のうち4曲の間には「トリスタン…」から抜き出した一部をつなぎとして使って、前奏曲から愛の死まで切れ目なく演奏したのである。驚くべきは、そのつなぎが何の違和感もなく、きわめて自然で、まるで最初からそのように書かれていたのではと思えるほど巧妙だったことである。両曲の楽譜を知り尽くした児玉ならではの、見事なアイデアと言うべきだろう。しかも演奏がまた素晴らしいものだった。ソプラノ独唱はベルギーのエレーヌ・ベルナルディだったが、強靱と言うほどではなかったにしても、オーケストラにマスクされないだけの良く通る声で、実に丁寧でニュアンスに富んだ歌唱を聴かせた。声の響きに多少のムラがあったし、もう少し艶やかさが欲しい気もするが、総じてはワーグナーを歌うに相応しい力量の持ち主であった。それ以上に感銘を受けたのは、オーケストラの響きの美しさと表情の豊かさだった。前奏曲の始まりこそ、少し用心深さが目立ったようだったが、音楽が進むほどに調子を上げ、実に丁寧な仕上がりで、特に官能的な表現が濃いわけではないが、洗練味のある美しい表情は十分に味わい深かった。プログラム前半のこの曲の構成の面白さと演奏内容は、これを聴き逃した人が気の毒に思えるほどだった。
 そのワーグナーに比べると、後半のマルトゥッチの交響曲第1番は、いささか印象が薄いものだった。後期ロマン派風の趣きのある曲で、旋律は明快で魅力的な部分も少なくないし、曲の作りも伝統的な交響曲の様式に則っていて、難解なところもほとんどないのだが、聴き進むほどに散漫な印象が強くなる。うまく形が整えられているわりに、心に響くものが少ないといったところ。演奏はワーグナー同様に丁寧でいて音楽的表情にも不足していなかったのだから、曲自体に聴き手の気持ちを引きつけ続ける力が足りなかったように思われた。
(C)福本 健
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