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2013年度 定期演奏会 公演批評

2013年度 定期演奏会 公演批評
 
第176回 定期演奏会
第176回 定期演奏会
第176回 定期演奏会
曲目
第176回 定期演奏会

≪マーラーのライヴァル“級友ハンス・ロット”≫
2013年5月17日(金)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール 
 
 今回の定期は、常任指揮者の寺岡清高が始めた“マーラーのライヴァル”全2回シリーズの第1回で、“級友ハンス・ロット”と題されたもの。近年、いくらか知られるようになったし、大阪響でも5年前の2008年5月、第125回定期でロットの交響曲第1番がとり上げられたものの、まだまだ知名度が低い作曲家なのだが、何と今回はそのロットの作品だけで組まれたプログラムである。大阪響は、音楽監督の児玉宏も珍しい作品を意欲的にとり上げたプログラムを組んでいるが、寺岡も児玉と競うように演奏機会の少ない曲を積極的に組み入れており、それこそ大阪響ならではの売り物として定着している感がある。そうした下地があってこそ、今回のようなプログラムも組めるのだろう。老舗のオーケストラなどは怖くて組めないようなプログラムだと思うのだが、こういう珍しい曲を聴くことができるということで、関西圏以外からも聴衆を引きつけることができるのだろうし、まさにそれが大阪響の存在価値を高めているとも言えるように思う。実際このプログラムにもかかわらず、客席はかなりの入りの良さであった。
 演奏されたのは、オペラを書くつもりで果たせなかった「ジュリアス・シーザー」への前奏曲、おそらくロットが最初に完成した管弦楽曲であろう「管弦楽のための前奏曲」、その少しあとに書かれた「管弦楽のための組曲」、そして第125回定期で演奏された交響曲第1番の再演である。いずれもロットが20歳代半ばで亡くなっていることから、若書きの作品ばかりで、これがロットだ、という個性的なものはあまり認められない。旋律は単純で分かりやすいし、聴いた瞬間は結構美しく魅力的に思えるものの、強烈に記憶の刻まれるほどのものがないように思えるし、管弦楽法も色々な作曲家の影を感じさせながらも、しっかりとオーケストラを鳴らすように書かれているにもかかわらず、まだ成熟したものが感じられない。それこそが若書きの証だと思えるし、もし彼がもっと長く生きて、もっと多くの作品を書き残せていたなら、より個性的で内容の濃い音楽を書いていただろうと思えるものを至る所に感じることができる。それでも、いささかワーグナー風の「ジュリアス・シーザー」への前奏曲はなかなかに楽しめる曲だし、打って変わって抒情的な美しさが印象的な「管弦楽のための前奏曲」も、もう少し曲を大きく膨らませていれば、もっと充実した曲になったようにも思える。「管弦楽のための組曲」は、組曲とは言え、わずか2曲からなる作品で、しかも2曲の素材は同じものが使われており、組曲と言うには少し肩すかしを食った印象。でも音楽自体は旋律も美しく、味わいのあるものだった。そして交響曲第1番は、再演ということもあるのだろうが、前回より声部の整理が行き届いている感じで、パート間のバランスや進退が巧く整えられていると感じられた。力のこもった作品であるだけに、延々とトゥッティで鳴らすところが多く、やや一本調子になってしまう傾向があったのは、作品のせいか演奏のせいか判然としないのだが、先に演奏された3曲を含めて、今回は何故か金管群の音が妙に明るく輝かしくて、それは決して悪いことではないが、曲によってはもう少し落ち着いた音色や響きが欲しいと感じられたし、どの曲もカッチリと丁寧にまとめられて、作品の姿を示すことには成功していたが、どこか安全運転的な感じがして、もう少しテンポやリズムの自在さ、表情の多彩な変化が加わっていれば、もっと楽しめる演奏になったように思われた。
(C)福本 健
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