≪リストとシューマン≫
リスト没後130年
シューマン没後160年
2016年10月8日(土)
昼の部13時30分開演/夜の部17時00分開演
シェフからのメッセージ
《リストとシューマン》今回の名曲コンサートはリスト没後130年、シューマン没後160年と二人の記念の年に相応しい名曲がならぶプログラムをお聴きいただきます。
前半の2曲、交響詩「前奏曲」と「死の舞踏」はともにリストの作品です。人生は死への前奏曲であるという思想のもとに書かれた「前奏曲」から「死の舞踏」へ。今回初めて共演する牛田智大さんのピアノがどのような表情を添えてくれるか楽しみです。
後半はシューマンの交響曲第2番。全4曲の交響曲のうち3番目に書かれたこの作品は、精神障害を発症し始めていたシューマンが不眠や幻聴などの症状と闘いながら書き上げたもので、美しさの中の絶望、哀しみの中の光など果てしない感情の渦をはらんだ作品です。リストの「前奏曲」とこの交響曲はどちらもハ長調で書かれていることも興味深いです。ハ長調というキャンバスに二人の巨匠がどのような絵を描いたか、比較しながら聴いていただくのも面白いのではないでしょうか。
リストとシューマンはシューマンが1歳年上ですが、リストはシューマンの結婚式に参列したり、シューマンはリストの勧めで室内楽作品に取り組むようになったりと同時代の音楽家同士として交流がありました。また「死の舞踏」を献呈された、現代の職業指揮者の先駆者ハンス・フォン・ビューローのピアノの先生はシューマンの妻クララの父でしたし、リストの娘コジマと結婚していました。二児をもうけるもコジマは後にワーグナーと不倫関係に陥り子どもを授かり、ビューローとは離婚、ワーグナーと再婚したという昨今の週刊誌顔負けのゴシップ付きですが…19世紀の芸術家たちが描いた人間模様にも想いを馳せて聴いていただければと思います。
今回は、私にとって大阪交響楽団との二回目の共演になります。前回は《シェイクスピア生誕450周年》ということでニコライとエルガーのふたつの《ファルスタッフ》を取り上げました。前回の喜劇とは真逆の、人生の苦悩や死に対峙する芸術の深淵をオーケストラのみなさんと一緒にどう表現できるか、とても楽しみにしています。
三ツ橋 敬子