大阪交響楽団 曲目解説 名曲コンサート 2016年度

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2016年度 名曲コンサート 曲目解説

 
 
第95回名曲コンサート   2月4日(土)
寺岡 清高

 
まほうのふえ
 
2017年2月4日(土)
昼の部 13時30分/夜の部 17時00分 開演
 

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
歌劇「魔笛」 全2幕のジングシュピール K.620 抜粋・演奏会形式


台本
ヨハン・エマヌエル・シカネーダー

初演
1791年9月30日 ウィーン、アウフ・デア・ヴィーデン劇場

時と場所
古代エジプト風の架空の時代と場所

登場人物
イシスとオシリスの神に仕える僧団の長ザラストロ(バス)/王子タミーノ(テノール)/夜の女王(ソプラノ)/その娘パミーナ(ソプラノ)/鳥刺しパパゲーノ(バリトン)/その伴侶となる若い娘パパゲーナ(ソプラノ)/ムーア人モノスタートス(テノール)/弁者(バリトン)/夜の女王の3人の侍女(ソプラノ、メゾソプラノ、アルト)/3人の童子(ソプラノ、ソプラノ、アルト)/〔省略〕僧侶(テノール、バリトン)/〔省略〕鎧を着けた男(テノール、バス)/合唱

楽器編成
フルート2、オーボエ2、クラリネット2(バセットホルン2持ち替え)、ファゴット2、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、グロッケンシュピール(チェレスタ)、弦5部


※あらすじと音楽ナンバー(音楽ナンバーについては【 】内に数字を付して曲名を記す。全曲中でことに有名な曲には
★をつけて簡単なコメントを加えた。なお、今回の公演で演奏が省略された曲には〔省略〕と明記した。)


◆序  曲
◆第1幕
  岩山のある風景。大蛇に追われて王子タミーノが逃げてくるが、ついに失神して倒れ込む。【1.導入曲「助けてくれ!さもないとやられてしまう」~】。夜の女王の3人の侍女が現れて大蛇を退治し、倒れている王子の美しさに見とれる。女王に報告にと侍女たちが去り、タミーノが息を吹き返すと、大蛇が死んでいるではないか。すると人が近づく気配が。やって来たのは鳥刺しパパゲーノだ。まず陽気に自己紹介だ【2.アリア「おれは鳥刺し」(★民謡風の有節形式によって書かれた素朴なアリアはパパゲーノの、陽気で天真爛漫な性格を活写している】。タミーノが声をかけて二人の会話が始まるが、王子の問いに鳥刺しは大蛇を殺したのは自分だと答える。そこに3人の侍女たちが戻り、パパゲーノの嘘を罰して口に錠前をかけ、タミーノには女王の娘パミーナの肖像画を手渡す。タミーノは、肖像に描かれた美しい乙女に一目ぼれする【3.アリア「この肖像はあまりにも美しい」】。侍女たちから、彼女が“悪漢”ザラストロに囚われの身と聞いて、タミーノは、その救出を決意する。
  雷鳴がとどろき、山々が裂け、夜の女王が出現する。タミーノに向かって娘を奪われた母の嘆きを訴え、もし救出に成功したら娘はタミーノのものと約束する【4.レチタティーヴォとアリア「おお。恐れおののかなくてもいいのです、わが息子よ」~「わたしは苦しむために選びだされ」★荘重な序奏に導かれたレチタティーヴォに続き、娘を奪われた母親の痛切な悲しみが歌われ、華麗なコロラトゥーラへと進む全曲中でも屈指の名アリアだ】。女王は再び消え去る。喋れるようにしてほしいパパゲーノはタミーノに泣きつく。パパゲーノの口から錠前を外してやるのは侍女たちだが、侍女たちはさらに、タミーノに魔法の笛を、パパゲーノには銀の鈴を与え、二人をパミーナ救出に向かわせる【〔省略〕5.五重唱「フム、フム、フム」】。
  ザラストロの城内。奴隷たちがパミーナ逃亡の報に喜んでいると、鎖をもって来いというモノスタートスの声。誤報だったのだ。モノスタートスはパミーナに懸想しているのだが、パミーナは野蛮なこの男を死ぬほど嫌っている。奴隷たちを去らせ、モノスタートスが嫌がるパミーナと二人きりになろうというところに、パパゲーノがやって来て鉢合わせとなるが、互いに異様な風体の相手に驚いて悪魔だと思い込み、逃げ出す【6.三重唱「かわいい子よ、入りなさい」】。気を失っていたパミーナは、戻ってきたパパゲーノから、自分に恋をする王子タミーノが救出に来つつあることを知り、希望に燃える。パパゲーノがまだ独り身だと聞いて、いつかきっといい人がと慰め、2人は声を合わせて男女の愛の神秘を歌い上げる【7.二重唱「愛を感じる男のひとたちには」★王女パミーナの清純な乙女心がパパゲーノと愛の神秘を称える感動的な二重唱となる。ベートーヴェンが愛した珠玉の名唱】。
  いっぽうタミーノは案内役の3人の童子たちに導かれてザラストロの神殿の前にやって来る【8.フィナーレ「この道はあなたを目的へと導いて行く」~】。神殿には3つの入り口があり、右と左の神殿には「理性」と「自然」、真ん中の神殿には「叡智」の文字が刻まれている。タミーノは、神殿に入ろうと、まず右、続いて左の神殿の入り口の前に立つが、いずれも斥けられ、真ん中の神殿の扉を叩くと、ひとりの僧〔弁者〕が現れる【フィナーレ続き~「大胆なよそ者よ」~】。この僧との問答から、タミーノには、ザラストロが悪漢などではなく、パミーナを母親の夜の女王から奪ったのにも深い理由があることが判明する。パミーナが無事生きていると知ったタミーノが感謝の気持ちをこめて魔法の笛を吹くと、動物たちが集まり、おとなしく笛の音に聴き入る【フィナーレ続き~「なんと強力な笛の音」~】。パミーナを連れたパパゲーノの笛の合図も聞こえて、憧れの対面も間近。だが途中、パパゲーノとパミーナはモノスタートスに見つかってしまう。この危機にパパゲーノが銀の鈴を振ると、追っ手たちはみな踊りだしてしまい、手出しができない。喜ぶ2人【フィナーレ続き~「りっぱな男が誰もみな」~】。そこに賛美の合唱【フィナーレ続き~「ザラストロ万歳」~】とともに、ザラストロが到来。詫びるパミーナを赦し【フィナーレ続き~「立ちなさい、気分を晴らして、娘よ」~】、パミーナは連行されてきたタミーノと感激の対面を果たす。ザラストロは、邪悪なモノスタートスを罰し、タミーノとパパゲーノを試練の殿堂に導くよう告げる。

◆第二幕
  舞台は椰子の木が茂る森。ザラストロが僧侶たちを従えてやって来る【9.僧侶たちの行進】。ザラストロは僧侶たちにタミーノが試練を受けることの是非を諮り、賛同を得る。そして、古代エジプトの神イシスとオシリスに2人の加護を祈る【10.合唱付きアリア「おお、イシスとオシリスの神よ」★ドイツ・オペラでも屈指のバスの名アリアで合唱を伴う】。
  真っ暗な夜。遠くに雷鳴が聞こえる。タミーノとパパゲーノが弁者と僧侶に導かれてやって来る。試練など真っ平御免のパパゲーノも、若い娘が授けられると聞いてしぶしぶ承知だ。試練に向かう2人に、弁者と僧侶が女の奸計に注意せよと警告する【〔省略〕11.二重唱「女の奸計から身を守れ」】。まず2人は沈黙の試練に入る。3人の侍女が現れて2人の裏切りをなじるが、2人は耐え、侍女たちは雷鳴とともに地獄に落ちていく【12.五重唱「どうしたの、どうしたの」】。最初の試練は通過だ。
  美しい庭園にパミーナが眠っている。モノスタートスが禁じられた切ない情欲を歌い【13.アリア「誰でも恋の喜びを知っている」】、彼女に近づく。そこに夜の女王が現れ、ザラストロとの因縁を語る。そして娘に短剣を渡してザラストロ殺害を命じる【14.アリア「地獄の復讐が煮えたぎる」★最高音ハイFが夜の女王の激しい復讐の情念を表出する至難のコロラトゥーラ・アリア】。思い悩むパミーナに、話の一部始終を盗み聞きしていたモノスタートスが陰険に言い寄るが、ザラストロが現れて遮り、モノスタートスを追放する。すべてを見通しているザラストロは、母の赦しを乞うパミーナに、愛と義務と友情に支えられた世界を説く【15,アリア「この聖なる殿堂では復讐を識るものはなく」】。
  タミーノとパパゲーノの試練は続く。無言の行である。愚痴をこぼすパパゲーノに老婆が近づく。自分はパパゲーノの恋人だと言うので、名前を尋ねると雷鳴とともに老婆は消え失せる。パパゲーノは、もう決してしゃべらないと誓う。そこに上空から3人の童子が現れ、2人に魔法の笛と銀の鈴を返し、ご馳走を与える【16.三重唱「ふたたびようこそ」】。おいしい食べ物と酒にご機嫌のパパゲーノを尻目にタミーノは笛を吹く。その音に誘われてパミーナがやって来るが、タミーノは沈黙を守らねばならない。パパゲーノも黙っているほかはない。パミーナはタミーノの愛を失ったものと思って絶望し、死を決意する【17.アリア「ああ、私にはわかる」★絶望したパミーナが悲痛な心情を歌うト短調(!)のアリア】。
  ピラミッドの地下室に僧侶たちが集まり、厳かに神々を称え、タミーノの成果を予告する【〔省略〕18.僧侶たちの合唱「おお、イシスとオシリスの神よ」】。タミーノのもとにパミーナが連れて来られ、ザラストロは2人の最後の別れを宣告する【19.三重唱「いとしい人よ、もうお会いできないのですか」】。いっぽうパパゲーノは、弁者から、天上の歓びは得られぬと宣告されるが、むろん彼はそれで充分。旨い酒のほかに欲しいものはと問われて。あとは連れ合いさえいればと願いを述べる【20.アリア「娘っ子か可愛い女房が」★グロッケンシュピールのオブリガートを伴ったアリアは屈託のない自然児パパゲーノの姿を巧みに描き出している】。ふたたび老婆が姿を現して娘に変身。パパゲーナだ。だが弁者が、すぐに物陰に引き入れてしまう。
  空中から3人の童子が降り立ち、天上の憩いを歌い始めるが【21.フィナーレ「やがて朝を告げ知らせて輝くのは」~】、絶望したパミーナを発見して見守る。パミーナが短剣を出したところに3人は躍り出て自刃を思い止まらせ、タミーノの変わらぬ愛を告げる。舞台は一転して山地の風景となり、2人の鎧を着た男が立つ。【〔省略〕フィナーレ続き~「苦難に満ちてこの道を」~】。タミーノの火と水の試練の始まりだ。だが今度はパミーナといっしょだ。タミーノは笛を吹き、笛の助けで2人は見事に試練を克服し、歓呼のうちに神殿に迎え入れられる【フィナーレ続き~合唱「勝ったぞ、勝ったぞ、気高い2人よ、汝らは危険に打ち勝った…来たれ、神殿に入るのだ!」~】。いっぽう、パパゲーナが見つからないパパゲーノは、絶望して首を吊ろうとするが、童子たちに教えられて銀の鈴を振るとパパゲーナが現れる。2人は楽しく歌い踊る【フィナーレ続き~二重唱「パ、パ、パ」★単純な言葉遊びの歌詞がフィナーレの山場をつくり、至福感のうちに《魔笛》という音楽ドラマの核心に迫る~】。夜の女王と3人の侍女がモノスタートスを加えてザラストロへの復讐に向かうが【フィナーレ続き~「静かに、静かに」】、たちまち滅ぼされ、舞台は燦然と輝く太陽の世界に転じる。人々は勝利の賛歌を高らかに歌い上げる【フィナーレ続き~「万歳、清められた人たちよ」】。
 
 

(C) 岩下眞好(無断転載を禁ずる)

 
 
 岩下眞好氏におかれましては、この「曲目解説」をご執筆直後の昨年12月15 日に逝去されました。ここに 謹んで哀悼の意を表します。
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