大阪交響楽団 2017年度定期演奏会 シェフからのメッセージ

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2018「定期」シェフからのメッセージ

 
 
第225回定期演奏会   1月10日(木)
寺岡 清高 
寺岡 清高 
マーラーが「交響曲第3番」を作曲中に滞在した宿と作曲小屋。オーストリア、アッター湖畔シュタインバッハ
寺岡 清高 

 

2016~2018年度全6回シリーズ

≪ウィーン世紀末のルーツ~フックスとブラームスから始まる系譜(6)

 

2019年1月10日(木)19時00分開演

 

第225回 定期演奏会
シェフからのメッセージ

 シリーズ「ウィーン世紀末のルーツ〜フックスとブラームスから始まる系譜」最終回は、かつてギネスブックに世界最長の交響曲として認定されていた、マーラーの交響曲第3番です。休憩なしの、演奏時間約100分の大曲ですが、どうか怖気付かないで下さい(笑)
 
 マーラーの交響曲には色々な要素が入り過ぎていて支離滅裂である、分裂していて理解できない、という否定意見があります。仮に交響曲を作曲家の創造するひとつの統一された宇宙だとすると、マーラーの交響曲に最も欠けているのはその統一感かもしれません。それもそのはず、マーラーは自分の内側にある世界ではなく、外側に広がっている世界=自然界そのものを描こうとした作曲家なのですから。実際我々が生きているこの世界はなんと矛盾に満ちていることか。マーラー自身のたとえ「居酒屋で別れ話をしている恋人達の隣のテーブルで酔った客達が歌って騒いでいるような」状況を想像してみて下さい。一方は人生の愁嘆場、他方はただの宴会…あらゆる意味でお互いにまったく接点はありませんが、同時に同じ場所で起きている。これこそが我々の生きている世界に他ならないわけです。この交響曲第3番でマーラーは自然界全体を描こうとしたのですが、その方法がとてもユニークです。自然界を階層ごとに6つの楽章に振り分けているのです。第1楽章「生命の目覚め〜岩山」、第2楽章「草花」、第3楽章「動物」、第4楽章「人間」、第5楽章「天使」、第6楽章「愛」。
 
 クライマックスは第6楽章。実は古今東西全ての交響曲の中で、私が個人的に最も好きな楽章です。ここでいう「愛」とは性愛の意味ではなく、慈悲の心とか隣人愛とかの精神的なものです。人間の感情を天上から俯瞰しているかのような音楽です。最後の嘆きのあとに訪れる金管楽器による救済のコラールは本当に言葉にできないほど感動的です。生命のない物質から生命体を経て、最後は精神世界を音にすることによってマーラーは全世界を描いてみせたのではないでしょうか。締めくくりに延々と続くニ長調のFF和音の上には「満ち足りた高貴な音で」とあるのがそのことを物語っています。
 
 全体は大きく三部にわけて考えると聴きやすいと思います。第1楽章(約35分)、第2・3・4・5楽章(計約40分)、第6楽章(約25分)。私は皆さんがお好きなところで拍手をして頂く主義なのですが、この曲は全体が螺旋状に繋がっている交響曲ですので、楽章ごとの拍手や合唱とソリスト入場時の拍手はお控え頂いて、6楽章の最後にお願いできればと思います。
 
 ブラームスの大学祝典序曲と、フックス門下のマーラー第3番第6楽章の音楽的な繋がりが、今シリーズの隠れた縦糸でしたが、それはもっと前のベートーヴェン弦楽四重奏曲第16番の第3楽章とも繋がる、私が大阪交響楽団とひたすら続けてきた各シリーズを貫く音楽的柱でもありました。全ては作曲家達の手による壮大な変奏曲のリレーなのかもしれません。
 
 
 

大阪交響楽団 常任指揮者
寺岡 清高

 

 

寺岡清高写真:(c)木村 護

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