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第233回 定期演奏会   10月11日(金)
指揮:川瀬賢太郎 (C)Yoshinori Kurosawa
ホルン:福川伸陽

 
2019年10月11日(金)19時00分開演 
 
 
リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)
歌劇「カプリッチョ」作品85 より 序奏と月光の音楽
 
 本日のリヒャルト・シュトラウス・プログラムは、前半に最晩年の2作、後半に青年時代の2作を並べ、彼の創作の主要ジャンルであるオペラと交響詩を最初と最後に置いている。そして、もうひとつのテーマはホルン。2曲のホルン協奏曲だけでなく、「カプリッチョ」の“月光の音楽”でも、「ドン・ファン」でもホルンが重要な役割を果たす。シュトラウスの父、フランツ・ヨーゼフ・シュトラウスは名ホルン奏者であり、息子リヒャルトにとって、ホルンはとりわけ思いの深い楽器であった。
 シュトラウスの全15曲のオペラの最後の作品「カプリッチョ」は、彼がその後半生において追求してきた音楽のための会話劇の究極のかたちと言える。物語は、若くして未亡人となった美しい伯爵夫人に作曲家フラマンと詩人オリヴィエがともに求愛し、さらにオペラにおいて音楽と言葉のどちらが優位かという芸術論上の問題に発展していく。“序奏”はフラマンが作曲した弦楽六重奏曲という設定で、オペラの冒頭、サロンで演奏されるこの六重奏曲を伯爵夫人がうっとりと聴いている。
 その後、登場人物たちによって、オペラにおける音楽と言葉の問題が議論され、またフラマンとオリヴィエの伯爵夫人に対する求愛が並行して展開する。やがて人々が立ち去って誰もいなくなったサロンに夜が訪れ、月光が降り注ぐ。ここで演奏される“月光の音楽”は、ホルンの美しい旋律で始まり、陶酔的に高揚していく。
 オペラでは、この後に伯爵夫人がひとりサロンに現れ、永久に答えが出ないであろう難問の判定に悩むが、答えを見出すことはできず、疑問符を象徴するようなホルンのフレーズとともに幕が下りる。
 
●作曲年代 1940~41年
●初  演
【オペラ全曲】:1942年10月28日、ミュンヘン・バイエルン州立歌劇場、クレメンス・クラウス指揮
●楽器編成
【序奏】:ヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ2
【月光の音楽】:フルート2、ピッコロ、オーボエ2、イングリッシュホルン、クラリネット3、バセットホルン、バスクラリネット、ファゴット3、ホルン4、トランペット2、ハープ2、弦5部
 
 
リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)
ホルン協奏曲 第2番 変ホ長調
 
 「カプリッチョ」を最後に、シュトラウスは作曲活動の第一線から退き、その後7年あまりの余生を、自らの楽しみのためと言ってもよい自由な創作に充てた。シュトラウスの作品中、協奏曲は数少ないが、この時期にホルン協奏曲第2番の他に、オーボエ協奏曲(1945)、クラリネットとファゴットのための二重小協奏曲(1947)と、管楽器のための協奏曲が3曲相次いで作曲された。
 若き日のホルン協奏曲第1番から約60年、初期ロマン派風の楽想をおおらかに歌い上げた第1番に比べて、この第2番はより古典的であるとともに、やや斜に構えたようなところもあり、二つの世界大戦を体験した作曲家の波瀾万丈の人生がしのばれる。その一方で、両曲の楽章構成、調性、主題などには意外なほどの類似性も感じとれる。

 
 第1楽章 アレグロ 変ホ長調 アルプスの山並みにこだまするようなホルンのソロで始まり、この主題を中心に展開する。ソナタ形式の片鱗が見られるが、かなり自由な形式をとっている。切れ目なく第2楽章に続く。
 第2楽章 アンダンテ・コン・モート 変イ長調 三部形式 ホルン・ソロは比較的控えめで、室内楽のような趣がある。
 第3楽章 ロンド アレグロ・モルト 変ホ長調 角笛のようなホルンの主題による快活なロンド楽章。
 
●作曲年代 1942年
●初  演
1943年8月11日、ザルツブルク音楽祭(モーツァルテウム大ホール)、ゴットフリート・フォン・フライベルク(ホルン)、カール・ベーム指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
●楽器編成
独奏ホルン、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部
 
 
リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)
ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11
 
 シュトラウスの父フランツは、ミュンヘンのバイエルン宮廷歌劇場の首席ホルン奏者を務め、名指揮者ハンス・フォン・ビューローから「ホルンのヨアヒム」と称えられた名手だった。フランツは保守的な音楽観の持ち主で、古典派の音楽を愛し、当時の新しい音楽だったリストやワーグナーを極度に嫌っていた。フランツは宮廷歌劇場の奏者としてワーグナーのオペラを作曲者の立ち会いのもとで演奏することもあったが、リハーサルでは反抗的な態度をとっても、本番ではプロ魂を発揮して見事な演奏を聴かせ、彼を嫌っていたワーグナーを感嘆させた。
 そんな父のもとで育った若き日のシュトラウスは、古典派と初期ロマン派の音楽を好んでいた。その才能を認めたビューローは、指揮の経験がほとんどないシュトラウスを、自らが宮廷楽長を務めるマイニンゲンに第2指揮者として招き、この地で彼の人生は大きな転換を迎えることになる。
 この協奏曲の三つの楽章は切れ目なく続けて演奏されるが、これはシューマンの交響曲第4番を始めとする、初期ロマン派の影響と言えるだろう。

 
 第1楽章 アレグロ 変ホ長調 ロンド形式 ホルンによる狩の合図のような主要主題で始まり、同じくホルンによる伸びやかな二つの副主題がはさまれる。第1楽章がソナタ形式でなく、ロンド形式である点が珍しい。
 第2楽章 アンダンテ 変イ短調 三部形式 弦楽器の伴奏の上に、ホルンがたっぷりと歌う。
 第3楽章 ロンド アレグロ 変ホ長調 ホルンの狩猟的な性格を生かした快活なロンド楽章。

 
●作曲年代 1882~83年
●初  演
【ピアノ伴奏版】1883年3月、ミュンヘン(音楽芸術家[トーンキュンストラー]協会)、ブルーノ・ホイヤー(ホルン)、作曲者(ピアノ)
【オーケストラ版】1885年3月4日、マイニンゲン宮廷劇場、グスタフ・ラインホス(ホルン)、ハンス・フォン・ビューロー指揮
●楽器編成
独奏ホルン、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部
 
 
リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)
交響詩「ドン・ファン」 作品20

 
 1885年10月、21歳のシュトラウスはビューローの推薦でマイニンゲン宮廷楽団の第2指揮者に就任した。しかも、早くも12月にビューローがこの地を去ったため、シュトラウスは後任の楽長に昇進した。そして、シュトラウスの人生にとって決定的な出会いが待っていた。宮廷楽団の第1ヴァイオリン奏者アレクサンダー・リッターは熱烈なワーグナー信奉者で、彼の教えにより若きシュトラウスはリストやワーグナーの「新しい」音楽に開眼したのである。以後その創作の中心は、標題的な交響詩になる。
 「ドン・ファン」はシュトラウスの個性が一気に溢れ出た最初の傑作である。ニコラウス・レーナウの詩に基づくこの交響詩で、気鋭の作曲家は華麗なオーケストレーションを駆使して、官能を音で描いた。激しく湧き上がる弦の音型がハ長調と錯覚させて一瞬で鮮やかにホ長調に転調し、ドン・ファンの主題が颯爽と現れる冒頭から、力尽き息絶える結尾に至るまで、理想の美を追求するドン・ファンの情熱が吹きすさぶ。
 ソナタ形式とロンド形式を融合した多重的な形式や、曲のちょうど中ほどでホルン(!)の力強い主題が現れて新たな局面が開かれるなど、きわめて斬新な形式がとられている。
 「ドン・ファン」から「カプリッチョ」まで、シュトラウスは何と長く豊饒な道のりを歩んだことだろう。
 
●作曲年代 1888年
●初  演 1889年11月11日、ヴァイマル宮廷劇場、作曲者指揮
●楽器編成
フルート3(1名はピッコロ持ち替え)、オーボエ2、イングリッシュホルン、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、トライアングル、シンバル、グロッケンシュピール、ハープ、弦5部
 
 
曲目解説:(C) 鶴間 圭(音楽学)(無断転載を禁じる)
 
 
 
 
 
 
 
                                     
 
 
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