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2020年度 名曲コンサート 曲目解説

 
 
第115回名曲コンサート   1月10日(日)
菊池 洋子

モーツァルトのピアノ協奏曲弾き振り
 
2021年1月10日(日)
昼の部 13時30分/夜の部 17時00分 開演
 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
ピアノ協奏曲 第17番 ト長調 K.453
 
 オーストリア中北部の古都ザルツブルクに生まれたW.A.モーツァルト(1756-1791)は、6歳のときから一家であるいは父親と二人でヨーロッパ各都市へ長旅を繰り返しました。旅先では神童として寵児となり、また、音楽先進都市の文化を吸収することができましたが、成人に達すると大都市の宮廷に職を求める望みは叶わず、やむなくザルツブルクの宮廷音楽家に甘んじていました。しかし、1781年春、主君コロレド大司教と衝突して職を蹴り、ウィーンで独立独歩の音楽家生活を開始します。その最たる収入源は、ピアノ協奏曲の自作自演を目玉プログラムとする会員制予約演奏会の開催でしたので、彼はシーズンごとに数曲のピアノ協奏曲をせっせと書き下ろしました。当初、予約演奏会は非常に好調で、1784年には会員数174人に達し、その自演用にK.449、K.450、K.451、K.453、K.456、K.459の6曲ものピアノ協奏曲が作曲されました。
 第17番ト長調K.453はその4作目にあたります。同年4月10日付けの父レオポルトへ宛てた手紙に「今日もまた、プロイヤー嬢のために新しい協奏曲を完成させました」とあるように、この曲と2月完成の変ホ長調K.449の2曲はバルバラ・フォン・プロイヤーという弟子のために作曲されたものです。プロイヤー嬢はウィーン在住のザルツブルク宮廷連絡官の娘で、ピアニストとして相当な力量があったらしく、このK.453を6月13日にデープリングの自邸で初演しています。おそらく、モーツァルト自身も自分の演奏会でこれを採り上げたものと思われます。ウィーン時代では唯一ト長調で書かれたこのピアノ協奏曲は、溌剌としたリズムとのびやかで晴朗な旋律に、彼の天真爛漫な一面があらわれています。フィナーレに、のちのオペラ「魔笛」のパパゲーノのアリアを思わせる旋律が顔を出すのも耳を惹きます。
 第1楽章 : アレグロ、ト長調、4/4拍子、協奏風ソナタ形式。オーケストラの主題呈示では、ヴァイオリンの弾むような旋律をフルートが装飾し、やがて独奏ピアノがこの第1主題を可憐に奏して登場します。流麗な第2主題もヴァイオリンから示されます。
 第2楽章 : アンダンテ、ハ長調、3/4拍子。5小節の温和な主題が計5回繰り返され、各回の主題のあとに変奏がつく、自由な変奏曲。変奏は、ハ長調、ト短調、ニ短調、変ホ長調とそのつど調を変え、最後のハ長調変奏のあとに自作カデンツァ(即興的独奏部分)が置かれています。
 第3楽章 : アレグレット、ト長調、2/2拍子、変奏曲形式。主題旋律はモーツァルトが当時飼っていたムクドリのさえずりから着想したもの。彼の家計簿に、34クローネというムクドリの値段とともに、この旋律が書き込まれています。第1変奏はピアノが主役。第2変奏はフルートが旋律を受け持ちピアノが3連符で伴奏します。第3変奏はピアノと木管の対話。ト短調の陰影に彩られた第4変奏ではシンコペーション・リズムが独自の効果をあげています。行進曲調の第5変奏ではピアノが主題旋律を受け持ちます。
 
作曲年代 1784年、ウィーン
初  演 1784年6月13日、ウィーン
楽器編成 独奏ピアノ、フルート、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、弦5部
 
 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
ディヴェルティメント ニ長調 K.136
 
 幼児期からアルプス以北のヨーロッパ主要都市に演奏旅行を繰り返したモーツァルトは、1769年12月13日に父子念願のイタリア旅行に出発します。71年3月28日にザルツブルク帰着、同年8月13日から12月16日にイタリア再訪。さらに翌72年10月24日から73年3月13日にかけて3度目のイタリア旅行も経験しました。この3次にわたるイタリア旅行により彼のキャリアと作曲技量は飛躍的に向上します。その第2次旅行と第3次旅行の狭間にあたる1772年初めに、16歳の彼はザルツブルクで3曲のディヴェルティメントを相次いで書き上げました。3曲ともイタリア流の急-緩—急の3楽章形式をとり、第3楽章のほうが第1楽章よりも急速なのが特徴で、管楽器抜きという編成に明るく輝かしい曲想にもイタリアの影響が色濃く反映されています。タイトルの「ディヴェルティメント」とは「喜遊曲」と邦訳されるように、貴族や富豪の祝賀等に演奏される、軽い気晴らし音楽のことです。通常は管楽器入りの編成で、メヌエット楽章を含む6~7楽章からなりますが、これら3曲は管楽器抜き、メヌエット無しの3楽章構成であることから、イタリア式序曲と呼ぶ方が適切とされ、自筆譜の「ディヴェルティメント」との書き込みも後世の第三者によるものと推定されます。楽器編成も、モーツァルトが「ヴァイオリン2部、ヴィオラ、バス」としか記していないため、バスとはチェロなのかコントラバスなのか、その両者なのかもわかりません。また、それぞれが複数の弦楽合奏曲なのか、単数の弦楽四重奏曲なのかもはっきりしません。しかし、通常は、本日のように弦楽合奏曲として演奏される場合が多いようです。
 第1楽章 : アレグロ、ニ長調、4/4拍子、ソナタ形式。低弦の刻みにのって第1ヴァイオリンが流麗な旋律を歌い出します。
 第2楽章 : アンダンテ、ト長調、3/4拍子、ソナタ形式。穏やかで落ち着きのある中間楽章。
 第3楽章 : プレスト、ニ長調、2/4拍子、ソナタ形式。笑顔で挨拶するかのような6つの音に始まり、終始モーツァルトらしい天衣無縫な音楽を繰り広げます。
 
作曲年代 1772年1月~3月、ザルツブルク
初  演
不明
楽器編成
ヴァイオリン2部、ヴィオラ、バス(チェロ)
 
 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488
 
 ウィーン定住後のモーツァルトは主にアントン・ヴァルター製のフォルテピアノを愛用して、予約演奏会でみずから演奏するために続々とピアノ協奏曲を作曲しました。その創作の頂点に位置するのが、1785年2月完成の第20番ニ短調K.466から1786年12月4日完成の第25番ハ長調K.503の6曲です。このイ長調K.488は6曲グループの4作目で、完成日付は1786年3月2日。オーケストラは木管にオーボエを欠き、管楽器もトランペット抜きのホルンのみ。ティンパニも加わらないため、全曲を通じて控えめで落ち着きのある響きが支配的です。この曲から約3週間後の3月24日に完成したハ短調K.491の劇的な緊張感とは対照的です。
 第1楽章 : アレグロ、イ長調、4/4拍子。第1ヴァイオリンによる第1主題呈示後、木管がこれを反復します。第2主題も第1ヴァイオリン、木管の順で出され、ピアノもこの両主題を奏します。展開部ではホ長調の新しい主題が登場。再現部のあと、作りつけのカデンツァが奏されたのち、消え入るように楽章を結びます。
 第2楽章 : アダージョ、嬰へ短調、6/8拍子、3部形式。シチリアーノ・リズムを持つ郷愁にみちた主部と、木管とピアノが掛け合うイ長調の中間部からなります。
 第3楽章 : アレグロ・アッサイ、イ長調、2/2拍子。独奏ピアノに始まる軽快な主題によるロンド形式のフィナーレ。ロンド主題のほか多彩な副主題も登場します。
 
作曲年代 1786年3月2日、ウィーン
初  演 1786年3月の四旬節音楽会期間(推定)
楽器編成 独奏ピアノ、フルート、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、弦5部
 
C)萩谷 由喜子(音楽評論家)(無断転載を禁ずる)

 

 

菊池洋子写真(C)Yuji Hori

 

 

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